2016年4月アーカイブ

 

おはようございます。

先週土曜日23日に出張先の中国西安から戻って参りました。

西安のホテルを朝5時半に出発、8時に西安空港を飛び立ち上海には10:30頃到着。出国手続きを済ませ、12時に上海を飛び立ち、15時半頃に成田到着。結局家に着いたのは18時頃と、12時間を超える移動でした。

翌日曜日は丸1日出張期間中の報告書作成に追われ、昨日月曜から通常通りの出勤です。正直、疲れました。

 

さて、今回の出張は西安で開催された日中経済知識交流会に参加するのが目的でした。日本側座長は元日銀総裁の福井俊彦氏で、今はキャノングローバル戦略研究所の理事長を務めています。一方、中国側座長は国務院発展研究センター(中国国務院直属の諮問機関、シンクタンク)の李偉主任(センター長)で、中国では閣僚級の職位です。本交流会は、基本的にはクローズドの会議なので、詳細には議論の内容を公開できるものではありませんが、世間における今の経済研究の最前線を少しご紹介できればと思います。

 

世界経済情勢は低迷が続き、行き詰まりの状態になっていることは誰しもが認めるところです。各国がそれぞれ行っている財政・金融政策も効果は見られず、これまで堅調に世界経済をけん引してきたBRICs等新興諸国のうち、ロシアとブラジルは資源価格の下落で景気が落ち込んでいます。唯一中国とインドの経済が高い成長を維持しているものの、中国は経済成長が徐々に減速しており、インドの経済規模はそれほど大きいものではなく、社会的にも成熟していません。日本は日本でアベノミクスの実質的な効果がほとんど見られず、ご覧の通りの体たらくです。

 

こうしたなか、日中両国が協力して経済の新たなパラダイムを形成し、現在とは別の経済の流れを創り出すことが世界経済の持続的発展につながるとの認識が生まれています。そこにはイノベーションと構造改革が必要との結論に達し、今後はそれをどう実現していくかに議論の方向が向くものと思います。

 

ただ個人的に思うに、従来の欧米系の経済理論(金融経済論等)に捉われていたら、それこそ日中共同のパラダイムなど提案することはできません。五井野博士が提唱されるように、東洋の英知に立ち戻らなければ、結果として崩壊の道に進んでしまうことになります。

 

次回は少し東洋の考え方に焦点を当てて、私の考えをご紹介させていただければと思います。もちろん、私のこうした考えの根底には、五井野博士より多くのことを学ばせていただいた背景があることを特に記しておきたいと思います。

 

高見澤

2016.4.26

 

こんばんは。私は昨日から中国陝西省西安に出張しています。

昨日、夕方に成田空港を飛び立ち、先ずは上海で入国審査を受けた後、夜中に西安に到着しました。上海でのトランジット時間を含め、7時間の飛行機の旅でした。座りっぱなしでしたので、最後にはお尻が痛くなりました。足もだるくなり、エコノミー症候群になる一歩手前のような感触ではなかったでしょうか。

 

飛行機の中ではなるべくトイレに立つことを避けようと水分を控えていたのですが、やはりフライト中は水分を充分に取るべきだと、反省しているところです。ただ、エコノミークラスだと座席が狭く、トイレに立つのはやはりおっくうになりますが、それでもトイレに立つことを恐れずに水分はとりましょう。そうそう、今回の復路のフライトは旅行社の好意でビジネスクラスにグレードアップされているようなので、そこは一安心といったところでしょうか。

 

今回の九州地方での地震でも、熊本ではエコノミー症候群で亡くなる人が増えているようです。これまでになく、地震発生の可能性が長引いており、家で安心して休むことができず、車などで眠る人が多いので、こまめに水分を取る、頻繁に身体を動かすなど、普段にも増して心掛ける必要があります。現代の日本人は、それでなくとも化学物質や放射能の影響で病気に対する抵抗力や免疫力が低下してるので、今回のような緊急時はもちろんのこと、普段の生活の中でもストレスを溜めないよう工夫することが大事です。

 

今次の西安出張ですが、明日から明後日にかけて1日中会議が続きます。我が組織の理事長に随行してきており、彼が初めての西安訪問ということなので、本日は気分転換と観光産業の現地視察調査を兼ねて、世界遺産となっている兵馬俑(秦始皇帝陵の副葬品である兵士や馬車を模った焼き物)、華清池(唐の玄宗皇帝と楊貴妃の離宮)などを訪れました。以前にも何度も訪れたことのある観光地ですが、改めて中国の歴史文化の深さを思い知ることができました。秦始皇帝による中国統一は紀元前221年、唐の玄宗皇帝の時代は8世紀初頭です。遺跡、文物の豊富さには驚かざるを得ません。

 

しかし、今の中国の観光地は問題ばかりです。文物の保存と称して、どこの観光地でも高額の入場料を取り、膨大な観光客ばかり、しかもそれに対応するために係員に観光客を人として扱う意識はほとんどなく、流れ作業に終始する始末。観光地で重要なのはリピーターであり、より多くの「一元の客」ばかりを当てにしているようでは、そのうち誰も行かなくなるでしょう。やはり、日本の「おもてなし」のビジネスモデルが、今中国に最も必要とされるところですが、これが中国に定着できるようになるには、まだまだ時間が必要でしょう。ある程度そのような意識が定着し始めたときこそ、東藝術倶楽部中国勉強会が実現できればと思っています。「おもてなし」については、後日深堀したいと思います。

 

高見澤

2016.4.20

 

おはようございます。

熊本、大分を中心とする九州地方での地震は余震が続いています。また、南米エクアドルでも大きな地震が発生し、多くの方が亡くなっています。地球規模で引き続き連動する可能性もあり、今後どこで何が起きるか予想もできません。いざという時のための準備、特に臨機応変に対応できる精神的なゆとりを持つことが何よりも大切かと思います。

 

中国の『晏子春秋』という古い書物に「疾不必生,徐不必死(慌てたからといっても生きられるわけではないし、のんびりしていたからといっても死ぬとは限らない)」という言葉があります。晏子は晏嬰(?~BC500年)という中国の春秋戦国時代の強国の一つである斉国で、斉の霊公、荘公光、景公の3代の王に仕えた名宰相です。

 

荘公光が家臣の崔杼と慶封に殺されたとき、晏嬰は急いでその場(崔杼邸)に駆けつけ、型通りの哭礼を行い帰ろうとした際に、崔杼の部下が晏嬰も殺そうとしたのですが、崔杼は人々に慕われ人気のある晏嬰を殺すのは得策でないと考え、止めさせました。晏嬰が崔杼邸から出てきたとき、晏嬰の部下が急ぎ馬車を走らせ帰宅しようとしましたが、晏嬰は前述の言葉を述べて、静かに帰宅の途に着いたということです。

 

今、中国の大都市では、至る所で車の大渋滞が発生しています。それがまた大気汚染の原因の一つになっているのですが、とにかく車での移動に関しては時間が全くよめません。スムーズに行く場合は時間が早すぎたり、事故や故障車によって思わぬところで大渋滞が生じてしまうことも少なくありません。あと5秒待てば車の流れがスムーズに行くところを、隙間をぬって頭を突っ込んできてニッチもサッチもいかなくなり、それが数十分、あるいは数時間の渋滞の原因になることもよくあります。

 

こんな状況に出くわす度に、よく先の晏嬰の言葉を思い浮かべるのですが、今の中国人にはなかなか理解できていないようです。もちろん日本でも、朝夕のラッシュ時の地下鉄での乗客の行動を見ていると、降りる人の迷惑を顧みず空いている席目掛けて一目散にダッシュする人、電車のベルが鳴り終わって扉が閉まりかけているのに、無理やり乗り込もうとしてドアに挟まれる人など、不快でしかも危険極まりない光景をよく目にします。

 

今回の九州地方での地震でもそうですが、突然の揺れに驚きパニックに陥ることが何よりも危険です。常に地震が起きることを想定し、たとえ起きたとしても慌てないよう、落ち着いて行動することが重要です。私も事ある毎にこの晏嬰の言葉を思い浮かべ、冷静沈着に行動できるよう心掛けています。

 

高見澤

2016.4.18

 

おはようございます。

昨晩の熊本を中心とする九州地方での地震、かなりの被害が出ているようです。

余震が続いているとのことで、九州地方やその周辺にお住いの方は、引き続きご注意ください。

東京でも、熊本での地震が発生するしばらく前に小さな縦揺れを感じました。一瞬でしたが、嫌な予感がしました。少し距離があるとはいえ、何らかの関連性があるのではないかと思っています。

 

一昨日、本メルマガで帰任のご挨拶をお送りしたところ、キリロラさん、川端さんからご返信をいただき、また顧問の池田先生からは直接メールを頂戴しました。事務局長の黒木さんからも、毎朝の私のメルマガを楽しみにされていた方もおられたと聞き、帰国したからには、今後もできる限り発信できればと思っています。

 

さて、今後のメルマガでの話題ですが、せっかく4年間も中国に滞在していたのですから、しばらくは中国ネタをお伝えしようかと思っています。

 

私自身、中国と関わってすでに35年ほど経ちます。大学で国際関係を学び始め、そこで東アジア地域研究と中国語を選んでしまったのが運のツキ(?)、中国というキーワードがライフワークの一つとなってしまいました。

 

「中国が好きか」と人に聞かれれば、私としてはまだはっきり答えは出ませんが、おそらく「中国は嫌い」なのではないかと思います。しかし、一つはっきりと言えることは、「中国は面白い」といことです。とにかく、歴史も長ければ国土も広い、人も多いし、民族や文化が多様で、それがまた入り混じって複雑な国家を形成しているのですから、一言で中国が「こうだ!」と言えるはずもありません。

 

昨今の御用学者がテレビのコメンテーターとして出演し、好き勝手に中国を決めつける発言をしていますが、それは多くの場合が妄想の世界であると感じざるを得ません。当然、御用でも学者は学者ですから、「分かりません」、「知りません」などとは死んでも言えませんので、何らかの回答を視聴者の前に示さなければなりません。それならそれで、しっかりと自分の目で見て事実を確かめ、軸足を定めた自分の考えを以て分析し、真実を語るのが本当の学者ではないでしょうか?それができなければ、テレビなどに出演しなければいいのです。

 

仕事がら、北京では日本メディアの現地駐在員と話をする機会がありました。現地の支局が事実を報道しようとしても、結果的には記事が捻じ曲げられ、中国にとってネガティブな報道が伝えられてしまうとのことで、彼らもかなり憤慨していました。彼らもサラリーマンですから、やはり本部なり上層部に逆らってまで勝手に記事を公表することはできないのが実態なのです。

 

中国では大気汚染がひどく、毎日スモッグに苦しんでいるかのように日本では報道されているかもしれませんが、実際に北京を訪れてみれば、決して毎日そのような状態でないことは分かるはずです。メディアによる一方的な報道で、あたかもすべてを知ったかのように誤解し、その誤った知識で物事を理解しようとすれば、結果的に誤った答えしか出てこないはずです。

 

今、我々にとって最も重要なことは、自分の目で見、耳で聞き、鼻で嗅ぎ、舌で味わい、身体で体験し、精神で感じることだと思います。報道や教科書、政府見解を鵜呑みにするのではなく、自分自身で納得がいくまで考え、答えを見付けて欲しいと思う次第です。そうしてこそ、江戸の素晴らしさを実感できることができると思います。

 

高見澤

2016.4.15

 

おはようございます。そしてご無沙汰しておりました。

中国北京での4年間の駐在生活を終え、先週土曜日に日本に戻って参りました。

職場の人たちからは、「オツトメご苦労様でした!」と言われ、北京駐在は「島流しか!」と思った次第です。

 

思えばこの4年間、日中関係は最悪の時期であったといえます。

2014年4月に赴任し、その直後に尖閣列島国有化の問題で日中関係がギクシャクしはじめ、5カ月後の9月には北京にある日本大使館前で大規模反日デモが連日行われ、各地で日本企業をターゲットに破壊行為、日本製品に対する不買運動や日本車へのいたずら攻撃、日本人へのタクシー乗車拒否などの情報が頻繁に聞こえてきました。

 

その後反日デモは静まりますが、日本に対する中国人のネガティブなイメージは変わらず、鳥インフルエンザの流行、PM2.5による大気汚染がによって、我々駐在員にとって仕事環境、生活環境は悪化の一歩をたどりました。

 

しかもですよ、アベノミクス効果で円安が一方的に進んだのです。これが、我々駐在員にとって最も痛かった現象です。我が職場での現地給与は日本円で支給されるので、円安元高が進めば、為替レートによって手取りが減るわけです。例えば、私が赴任したばかりときは、1万円を人民元に両替すれば800元近くになったのですが、円高が進んで一番ひどいときには500元を割ることもありました。1万円で300元の差、これを毎月10万円換えたとすれば、3,000元の差が出ます。3,000元を今のレートで計算すれば、なんと5万円ほどになります。そのお金があれば、北京/東京の格安の往復航空券が買えるし、女の子が隣に座ってくれるカラオケスナックにも5~6回は行けます。

 

この一番ひどいときに、日中間の経済関係改善に並々ならぬ努力をして、やっと最近になって改善の方向に向かわせることができ、しかも単身赴任ですから一人で寂しい生活を送っていたのです。ところが、日中関係が何とか改善の方向に向かいつつあり、また円高に転じて生活に少し豊かさ感が生じてきた今、突然の帰任命令! 駐在中、ほとんど駐在員としての甘い汁を吸うことなく、遂に日本の土を踏むこととなったのです。我が後任はこれから甘い汁を吸うことになるかと思うと...羨ましい!

 

とは言いながらも、日中関係はそう楽観視できるものではありません。最近の南シナ海をめぐる問題での安倍首相の発言などをみると、中国に対して好意を持っているようには思えないし、憲法改正論議や集団的自衛権の問題をみると、明らかに戦前の軍事国家への流れを感じざるを得ません。

 

このような危険な方向への流れを断ち切るためには、日本人が本来の日本人に立ち返る必要があると思います。それが明治維新より前の真の平和国家である日本、すなわち江戸にあるのではないかと思う次第です。日本全体を江戸の精神に立ち返らせる役割こそ、東藝術倶楽部が担う使命ではないでしょうか。今後、皆さんと一緒に楽しく江戸を勉強していくことができれば幸いです。ご協力、ご支援へのお願いをもって、帰任の挨拶に代えさせていただきます。

 

高見澤学

2016.4.13

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