おはようございます。そしてご無沙汰しておりました。
中国北京での4年間の駐在生活を終え、先週土曜日に日本に戻って参りました。
職場の人たちからは、「オツトメご苦労様でした!」と言われ、北京駐在は「島流しか!」と思った次第です。
思えばこの4年間、日中関係は最悪の時期であったといえます。
2014年4月に赴任し、その直後に尖閣列島国有化の問題で日中関係がギクシャクしはじめ、5カ月後の9月には北京にある日本大使館前で大規模反日デモが連日行われ、各地で日本企業をターゲットに破壊行為、日本製品に対する不買運動や日本車へのいたずら攻撃、日本人へのタクシー乗車拒否などの情報が頻繁に聞こえてきました。
その後反日デモは静まりますが、日本に対する中国人のネガティブなイメージは変わらず、鳥インフルエンザの流行、PM2.5による大気汚染がによって、我々駐在員にとって仕事環境、生活環境は悪化の一歩をたどりました。
しかもですよ、アベノミクス効果で円安が一方的に進んだのです。これが、我々駐在員にとって最も痛かった現象です。我が職場での現地給与は日本円で支給されるので、円安元高が進めば、為替レートによって手取りが減るわけです。例えば、私が赴任したばかりときは、1万円を人民元に両替すれば800元近くになったのですが、円高が進んで一番ひどいときには500元を割ることもありました。1万円で300元の差、これを毎月10万円換えたとすれば、3,000元の差が出ます。3,000元を今のレートで計算すれば、なんと5万円ほどになります。そのお金があれば、北京/東京の格安の往復航空券が買えるし、女の子が隣に座ってくれるカラオケスナックにも5~6回は行けます。
この一番ひどいときに、日中間の経済関係改善に並々ならぬ努力をして、やっと最近になって改善の方向に向かわせることができ、しかも単身赴任ですから一人で寂しい生活を送っていたのです。ところが、日中関係が何とか改善の方向に向かいつつあり、また円高に転じて生活に少し豊かさ感が生じてきた今、突然の帰任命令! 駐在中、ほとんど駐在員としての甘い汁を吸うことなく、遂に日本の土を踏むこととなったのです。我が後任はこれから甘い汁を吸うことになるかと思うと...羨ましい!
とは言いながらも、日中関係はそう楽観視できるものではありません。最近の南シナ海をめぐる問題での安倍首相の発言などをみると、中国に対して好意を持っているようには思えないし、憲法改正論議や集団的自衛権の問題をみると、明らかに戦前の軍事国家への流れを感じざるを得ません。
このような危険な方向への流れを断ち切るためには、日本人が本来の日本人に立ち返る必要があると思います。それが明治維新より前の真の平和国家である日本、すなわち江戸にあるのではないかと思う次第です。日本全体を江戸の精神に立ち返らせる役割こそ、東藝術倶楽部が担う使命ではないでしょうか。今後、皆さんと一緒に楽しく江戸を勉強していくことができれば幸いです。ご協力、ご支援へのお願いをもって、帰任の挨拶に代えさせていただきます。
高見澤学
2016.4.13