東藝術倶楽部瓦版 20160603 :三河三湖

 

おはようございます。

今日も東京は良い天気で、日差しがきつく感じられます。女性の方はしっかりとした紫外線対策が必要でしょう。

 

さて、これまでは中国の水に関して、古代中国の土木設計・建築技術のレベルの高さについて紹介してきました。現在でもそれを活かし、生活や経済活動に利用していることは高く評価できるものの、その一方で水に関して深刻な問題を抱えていることも事実です。

 

中国には「三河三湖」という言葉があります。これは、今水質汚染が最も酷い三本の河と三つの湖を指しています。「三河」は遼河(延長1390キロ:内モンゴル→吉林省→遼寧省→渤海)、海河(延長1329キロ:北京市・河北省等からの5本の支流→天津市→渤海)、淮河(延長1078キロ:河南省→安徽省→江蘇省→洪沢湖・黄河・長江)です。「三湖」は太湖(面積2445平方キロ:江蘇省)、巢湖(面積2063平方キロ:安徽省)、滇池(面積330平方キロ:雲南省)です。

日本で一番長い信濃川の延長が367キロ、最大の湖の琵琶湖の面積が670.4平方キロですから、中国の河や湖のスケールが如何に大きいかが分かります。

 

中国での環境汚染問題の最大のネックは、実はこのスケールの大きさにあるのです。

日本でも1950年代から70年代にかけて、高度経済成長とは裏腹に公害問題が深刻になりました。有機水銀による水質汚染の水俣病(熊本県水俣湾周辺)と第二水俣病(新潟県阿賀野川流域)、カドミウムによる水質・土壌汚染のイタイイタイ病(富山県神通川流域)、亜硫酸ガス(SO2)等による大気汚染の四日市ぜんそくなどの四大公害病をはじめ、日本各地で環境汚染が広がっていきました。

五井野正博士が富士山周辺の湖で、公害問題として空き缶のポイ捨てが原因の「穴あき病」を最初に指摘されたのもちょうどこのころです。

 

日本では面積が小さいことから、少しの汚染でも人や動物の身体に深刻な症状が目に見える形ですぐに現れますが、中国のように面積が大きいと汚染が拡散され、なかなか明確な形で症状が現れません。しかし、知らず知らずのうちに汚染が拡大し、症状が出るころには手が付けられないほど問題が深刻になっている、という極めて恐ろしい状態になることもあるのです。

 

こうした環境汚染に対し、中国政府は深刻に受け止め、各地で汚染の除去や防止に努めてきています。環境対策の分野で、日本政府や日本企業が協力を進めて、中国の環境改善に多大なる貢献を果たしてきたことも事実です。しかし、根本的な改善につながっているかというと、そこは疑問です。

過去、円借款や無償援助等で郵便貯金や税金といった日本国民の資産を形を変えてばらまき、一見開発途上国支援という形を作り上げましたが、それに対する中国側の評価はどうなのでしょうか? どこか、日本の自己満足で終わっているように思えてなりません。

 

日本の協力が真の意味で実を結ぶには、日本の協力なり日本とのビジネスによって「三河三湖」をはじめとする中国の水質が大きく改善したときではないでしょうか。そのためには、最初に問題提起し、原因を突き止め、さらには解決策を提示・実行するだけの行動力を示された方に解決を委ねることが必要かと思います。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2016年6月 3日 15:02に書いたブログ記事です。

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