東藝術倶楽部瓦版 20160621 :海上自衛隊護衛艦と中国海軍フリゲート艦

 

おはようございます。

昨日は早朝からの業務のため、瓦版をお休みさせていただき、失礼しました。

 

さて、最近は日中関係がまたおかしな方向に進みつつあるように感じられます。

2012年に尖閣諸島(中国名:魚釣島)国有化の問題で、緊張が高まった日中関係ですが、201411月に北京で開催されたAPECで、安倍首相と習近平国家主席が会談したことで、緊張は徐々に緩和されてきたところですが、ここにきてまた緊張が高まりつつあります。

 

2012年といえば、習近平政権誕生に向け習主席自身が基盤を固めるべく、水面下での根回しや反対派勢力を囲い込んでいた時期でもあります。そして2013年3月に現政権が誕生するわけですが、国内での政権争いから国民の目を逸らすために、わざと外交問題を持ち出す手法は今に始まった話ではありません。

今回の南シナ海や東シナ海をめぐる中国の動きは、来年2017年の第19期党大会に向けて、2期目を迎える習政権のさらなる安定化を図るために、改めて基盤固めに入っている証だとも理解されるところです。

 

ところで、今回6月9日未明に中国海軍のフリゲート艦が日本の主張する接続水域(久場島の北東)に入ったことは、かなり大きな意味を持っています。新聞報道では報道されているものの、この深刻さに気付いた人はどれだけいるのでしょうか?

これまでの接続水域への進入の問題は、日本の海上保安庁に当る「中国海警局」所属の船舶、すなわち言わば治安を取り締まる「警察」でした。ところが、今回進入したのは中国海軍所属のフリゲート艦、すなわち戦争をも辞さない「軍隊」で、今回海軍所属の船が初めて進入したのです。

 

このときは、ロシアの軍艦が先に久場島と大正島の間の接続水域に進入し、それを海上自衛隊の護衛艦「はたかぜ」が監視・追跡する形で同水域に入っています。ここに、海上保安庁ではなく、海上自衛隊の船舶であるという点に、中国側を刺激する要素がありました。

 

ニュースではあまり報道されてはいませんが、当時、沖縄の東方側の海域では、日米印の合同海上軍事訓練が行われていました。ロシアの軍艦3隻はそれを監視するために同水域を航行、ロシアの軍艦を監視するために「はたかぜ」も続いて同水域に進入しました。

一方、やはり合同軍事演習監視のために、中国海軍もフリゲート艦1隻を派遣、それを日本の海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」が監視していました。ロシアの軍艦に続いて「はたかぜ」が同水域に進入したことで、中国側のフリゲート艦も進入、なぜなら中国からすれば同水域は自国の接続水域となっているわけですから「侵入」ということになり、海上自衛隊が入るなら中国海軍も入れといった指示が、中国上層部からあったのではないか、というのが真相のようです。

このときは、ロシアの軍艦はもちろんのこと、日中双方の軍艦もさすがに領海にまでは進入しませんでした。

 

従来のように海上保安庁と中国海警局との間では、多少のトラブルはあるにせよ、大事に発展することはまずありません。しかし、海上自衛隊と中国海軍となると話は別です。偶発的なことから武力の行使に至る可能性は十分に考えられるのです(池田顧問、黒木さん、コメントあればお願いします)。

 

現在、日中間では経済交流や文化交流が盛んに行われています。多くの日本人が中国で活躍し、また多くの中国人が日本で活躍しています。一旦大事が生じれば、その混乱は収まらなくなるでしょう。

中国国内での政権安定化に向けた動きが収まるまでは、当然外に向けた緊張を煽る必要から、いろいろな難題が持ちかけられることでしょう。しかし、少なくともその矛先を日本に向けられるような口実を作らせないことが肝要です。ですが、今の安倍政権はわざわざその琴線に触れようとしているのが気になるところです。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2016年6月21日 14:25に書いたブログ記事です。

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