東藝術倶楽部瓦版 20160711 :陳酢と香酢

 

おはようございます。昨日は参議院選挙、皆さんは投票には行かれましたか?

私は残念ながら、駐在中に住民票を除票していたために、昨日の段階ではまだ選挙権が復活しておらず、選挙には行けませんでした。その代りと言っては何ですが、末娘が19歳で初めての選挙に行きました。

それにしても自民・公明の与党圧勝でしたね。これもまた日本国民が選んだ道ですから、私がどうこう言う話でもなく、この流れに従うしかありませんね。

 

さて、本日も食に関係したお話しです。

料理に欠かせない「さ、し、す、せ、そ」って、皆さんはご存知ですよね。そうです、調味料です。「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「せ」は醤油(せうゆ)、「そ」は味噌ですよね。この「さ、し、す、せ、そ」は、料理の味付けにもこの順番に従って入れると、美味しく作れるそうですが、それもまた違うという意見もあります。「さ、し、す、せ、そ」の順番に入れると良いとの考え方は、糖分や塩分の浸透圧に関係があるとか、酸味が熱でとんでしまうとかなどの理屈によるものですが、本当のところはよく分かりません。むしろ経験や感覚によって味付けをした方が、料理が美味しくなるのではないかと思う次第です。

 

本日は、その中の「す(酢)」について紹介したいと思います。

日本では一般に白い酢が使われますが、中国では黒酢が一般的です。中国の黒酢の産地として、特に有名な場所が山西省と江蘇省です。山西省の酢は「陳酢」と呼ばれ、江蘇省(鎮江)の酢は「香酢」と呼ばれています。

 

この二つの酢は味に大きな違いがあります。香酢は酸味が強く、陳酢はまろやかな味です。その原因は、原料にあると考えられます。香酢は日本と同じ米を原料として使いますが、陳酢の原料は「コーリャン(高粱)」です。

日本ではあまり馴染のないコーリャンですが、中国では「白酒」や酢の原料としてよく使われています。もちろん麺やパンなどにして食べることもありますが、パサパサしていてお世辞にも美味しいとは言えません。ですが、発酵させて酒や酢にすると、何とも言えない風味が出てくるのです。私自身、香酢よりは陳酢の方が好みに合います。酸味に加え、苦味、甘味、辛味、渋味、旨味が微妙なコントラストとなり、独特な風味を生み出しているからです。

 

陳酢を生み出した山西省は、中国の中でも特に土壌のアルカリ性が強く、食物や水にミネラル分が多分に含まれています。そのために、体内のアルカリ性を中和する必要があることから、酢を料理に使うようになったと言われています。確かに、同じ陳酢でも、北京で食べるよりは山西省の太原や大同で食べた方が美味しく感じます。

 

昔の中国人の経験や感覚による知恵の深さの一旦を垣間見た思いです。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2016年7月11日 12:10に書いたブログ記事です。

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