東藝術倶楽部瓦版 20160714 :日本の伝統食-味噌の種類

 

おはようございます。今朝の東京は曇り、昼前から降り始め、午後から夜にかけて本降りになるそうです。

それにしても昨夜は、天皇が生前退位の意向を示されたとのニュースが流れ、少し驚きました。これも何か今の時代を象徴したものではないかと思うのですが、今のところその意味するところは分かりません。生前退位は明治天皇以降初めてのことで、江戸時代に回帰する流れになった世界もどこかに生じたのかとも思わないでもないですが、どうでしょうか? 今の時代は多層世界、何が起きても不思議ではありません...

 

さて、今週は江戸の調味料について「酢」と「塩」を取り上げてきました。本日は、日本人にとってなくてはならない「味噌」について勉強してみましょう。

私が4年間の北京駐在する中で、自炊の時に欠かさず作って食していたのが味噌汁でした。最近では中国人も日本の味噌汁に親しみを感じてきており、好きな人も増えています。極端な話し、私はご飯と味噌汁と漬物があれば、それが毎日だったとしても十分です。

 

その味噌汁の材料となる「味噌」ですが、これは米や麦、大豆などの主原料となる穀物や豆に塩と麹を加えて発酵させた日本の伝統的な食品です。発酵させることによって、大豆に含まれるたんぱく質が分解してアミノ酸(主にグルタミン酸)ができ、旨味が増します。今では調味料としての色彩が濃いですが、江戸時代になる前は立派な食品の一つとして認識されていました。この日本の味噌は、食品学的には「穀醤(こくしょう)」に分類されます。「穀醤」とは、各種穀物や豆を原料としたペースト状の発酵食品で、その原料が肉であれば「肉醤(にくびしお)」、魚であれば「魚醤(ぎょしょう)」、野菜などであれば「草醤(くさびしお)」です。このうち、肉醤は獣肉の塩辛、草醤は漬物などの保存食を指すこともあり、純粋な調味料風のものは穀醤と魚醤です。味噌以外にも、醤油や中国の豆板醤、韓国のコチュジャンも同じ穀醤です。

 

この味噌ですが、甘味、塩味、旨味、酸味、苦味、渋味などが複雑に絡み合っています。その絡み具合は、地域や時代で違うほか、また原材料・菌・水の条件や作り手等の環境によっても異なります。

原材料別では、大きく分けて米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4種類に分類することができます。我々が普段使っているのは米味噌で、日本国内で生産されている味噌の8割を占めています。

 

味噌は大きく分けて米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4種類に分類することができます。
その中でも、現在国内で生産されている8割が米味噌です。米味噌は大豆に米麹を加えて作ったもので、これが麦麹になると麦味噌、そして大豆のみで作ったものが豆味噌です。調合味噌は、それぞれの味噌を調合したものや、各種の麹を合わせて作ったもの、上記3種類以外の味噌を指します。

味についても味噌によって大きくことなり、甘味噌、甘口味噌、辛口味噌に分けられます。辛さは食塩の量によりますが、「麹歩合」によっても味が変わってきます。「麹歩合」とは原料の大豆に対する米や麦の比率のことを指し、塩分が一定の場合、麹歩合が高ければ高いほど甘味が増します。これは、米などの澱粉が麹のアミラーゼによって分解されて糖分に変わるためだと思われます。

また、味噌は出来上がりの色によっても赤味噌、淡色味噌、白味噌に分けられます。大豆などの原料の種類、大豆を煮るか蒸すか、麹の分量、発酵途中での扱い方など、いろいろな条件によって違ってきます。

 

地域によって好まれる味噌が異なりますが、地域の中でも大きく違っていることもあり、関東がどうだとか、関西がどうだとかは一概に言えません。それぞれの地域の味噌を、現地で味わっていただくのが最高の贅沢です。

味噌の話題は豊富にあり、次回は味噌の歴史について触れてみたいと思います。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2016年7月14日 08:57に書いたブログ記事です。

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