東藝術倶楽部瓦版 20161125 :甘酒は冬、夏どっち! ?

 

おはようございます。昨日は何と54年ぶりに11月中の初雪を観測した東京でしたが、本日は雪も止んで晴れています。とはいうものの一段と冷え込んでいます。

 

さて、こんな寒い日には暖かい「甘酒」なんかは如何でしょう。そういえば、先日の日本橋勉強会の時にも人形町で甘酒を堪能しましたね。ということで、本日のテーマは「甘酒」です。

甘酒の起源ですが、どうやら古墳時代にまで遡るようです。『日本書紀』に「狭名田(さなだ)の田の稲を以て、天甜酒(あまのたむざけ)を醸()みて嘗(にいなえ)す、又淳浪田(ぬなた)の稲を用て、飯(いい)を為(かし)きて嘗す」とあり、この天甘酒が甘酒の起源ではないかといわれています。古くは「一夜酒(ひとよざけ)」、または「醴酒(こさけ、こざけ(「濃い酒」の意))」とも呼ばれたようです。

 

この甘酒ですが、「甘酒も飴湯も同じ樹陰かな」(正岡子規)とあるように、俳句の世界では夏の季語になっていることをご存知の方も少なくないと思います。このメルマガでもよく紹介している『守貞漫稿』にも「夏月専ら売り巡るもの」として「甘酒売り」が記されています。

しかし、文化11年(1814年)に書かれた江戸の随筆『塵塚談』(小川顕道著)に「甘酒売りは冬の物と思っていたら、近頃は四季に関係なく商売をしている。(中略)今は暑中往来を売り歩き、以前のように冬に売る者が少ない」とあるほか、同じような証言をしている資料もあることから、甘酒売りが夏の風物詩になったのは、どうやら江戸後期になってからではないかと考えられます。つまり、江戸中期以前は、やはり冬の飲み物であったのではないかと推察されるわけです。甘酒を冬に飲むというのは、当たり前といえば当たり前のような気がしますよね。その値段ですが、江戸中期には1杯6文というのが決まりで、夏の飲み物になった江戸後期には1杯8文に値上がりしています。

 

甘酒には二種類あって、一つは米の飯に米麹を混ぜて発酵させ、アルコール成分が生じる前に飲む「一夜酒」です。麹さえあれば家庭でも簡単に作ることができ、一年中飲むことができます。もう一つは日本酒を製造する時に出る酒粕に砂糖を加えて作るもので、これは新酒のできる冬場にしか酒粕が手に入りませんので、冬限定の飲み物になります。

甘酒はアルコール分1%未満のソフトドリンクとして扱われますが、大量に飲むと幼児など酒に弱い体質の人は酔う可能性もあるとのことです。糖分が20%近くありかなり甘く感じます。また、ビタミン類や必須アミノ酸を豊富に含んでおり、今でいうところの栄養ドリンクでしょうか。冬場の身体を温めるにも、また夏バテ防止にも最適な食品といえるでしょう。

 

高見澤

2021年1月

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このページは、東藝術倶楽部広報が2016年11月25日 17:40に書いたブログ記事です。

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