おはようございます。昨日から大分暖かさを感じる東京です。これも地球温暖化の影響でしょうか? といっても、二酸化炭素の排出が原因だと言う政府筋の話は信じられませんが...
さて、昨日は二十四節気のうちの一つ「冬至」で、1年間で太陽が出ている時間が最も短くなる日でした。本日は、この二十四節気についてご紹介してみたいと思います。
前回は太陽暦、太陰暦、太陰太陽暦の3つの暦法についてお話ししました。現在使われているグレゴリオ暦は太陽暦であることも前回ご紹介した通りですが、原則4年に1度の閏年は1年の日数が1日増える(「閏日」)だけなので、季節感など生活に与える影響はほとんどありません。ところが江戸時代以前に使われていた太陰太陽暦では「閏月」が挿入されるため、暦の日付と季節とのずれが大きく生じることになります。
そこで暦とは別に考案されたのが「二十四節気」だったのです。この二十四節気は、紀元前4世紀頃の中国、戦国時代に形作られたと言われていますが、それ以前の殷(商)の頃にはその原型がすでにあったようで、天文学的あるいは気象学的には昔からかなり高度に発達していたのではないかと思います。
二十四節気は、天球を一周する太陽の黄道を、冬至を起点として24等分するもので、それぞれの時点にはそれぞれ季節感を表す名称が付けられています。つまり、これは月齢によって決まる暦とは関係なく、太陽観測によって導き出される季節そのものであり、ある意味太陽暦ともいえるかもしれません。
太陰太陽暦における暦月(朔日から晦日)の名称は二十四節気を基準に定められます。暦では正月から3月までを春、4月から6月までを夏、7月から9月までを秋、10月から12月までを冬としています。この暦月による1カ月の区切りを「月切り」と言います。
一方、黄道を24等分する節気は、それぞれの時点は15度の間隔が空いていることになります。これが「太陽黄経」です。この太陽黄経が30の倍数であるものを「中(または「中気」)、それ以外のものを「節(または「正節」、「節気」)」と言います。節気から次の節気の前日までの間を1カ月とするのが「節切り」、その月を「節月」と言います。節月では、正月節から2月節までが正月、2月節から3月節までが2月、3月節から4月節までが3月というようになり、正月節から4月節までが春、4月節から7月節までが夏、7月節から10月節までが秋、10月節から正月節までが冬というように定められました。正月節は立春、4月節は立夏、7月節は立秋、10月節が立冬となります。
暦月の月名は、その月が含む中気によって決められます。太陰太陽暦と二十四節気の間には、1年間で11日のズレが生じるので、概ね3年に1ど、中気が本来割り当てられるはずの暦月に含まれない月が生じます。これが「閏月」として1年に挿入され、13カ月となる1年が生じることになります。
また、正月中気である「雨水」が正月15日以前にきたとき、立春はその15日前であることから、立春が前年になることがあります。これを「年内立春」と言います。
暦と季節が一体となっている現在のグレゴリオ暦と比べると不便さを感じますが、江戸時代以前の人たちからすれば、暦と季節が合致していないが当たり前のことだったので、それはそれとして不便を感じてはいなかったようです。ということは、逆に現代人の頭が便利になることによって退化したのではないかとも思えるのですが...やはり、便利さにばかり目を向ける現代人の思考にも問題があるように思います。
冬至:11月中気(太陽黄経270度)
小寒:12月節気(285度)
大寒:12月中気(300度)
立春:正月節気(315度)
雨水:正月中気(330度)
啓蟄:2月節気(345度)
春分:2月中気(0度、360度)
清明:3月節気(15度)
穀雨:3月中気(30度)
立夏:4月節気(45度)
小満:4月中気(60度)
芒種:5月節気(75度)
夏至:5月中気(90度)
小暑:6月節気(105度)
大暑:6月中気(120度)
立秋:7月節気(135度)
処暑:7月中気(150度)
白露:8月節気(165度)
秋分:8月中気(180度)
寒露:9月節気(195度)
霜降:9月中気(210度)
立冬:10月節気(225度)
小雪:10月中気(240度)
大雪:11月節気(255度)
上に記載した二十四節気は、これを考案した中国の中原地域の季節が基になっています。ですから、立春といっても日本では春にはまだ程遠い感じがあります。よく「暦の上での春」などと言いますが、実際には「言葉の上での春」と言うのが正しい表現ではないでしょうか。
高見澤