東藝術倶楽部瓦版 20170206 :季節を表す「花暦」

 

おはようございます。立春も過ぎ、暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続きます。それでも少しずつですが、春を感じさせる陽気になってきました。

 

さて、本日は「花暦(はなごよみ)」についてご紹介したいと思います。「花暦」とは、その季節に合った花を月の順番に配列し、季節感や自然との係りを楽しむ暦のことです。

 

中国唐代の詩人、劉希夷(651679年)の有名な詩「代悲白頭翁(白頭を悲しむ翁に代る)」に、「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同(ねんねんさいさいはなあいにたり、さいさいねんねんひとおなじからず)」という一節があります。人の世は変わりやすいのに、自然は変わらないという意味の詩です。「年」という字はもともと穀物が実るという意味の「稔」を表し、「歳」は1年ごとに行われた「祭」を表すとも言われています。

古代中国の商王朝では「五祀周祭(ごししゅうさい)」と呼ばれる祭祀があり、この祭祀が1周する3536旬はほぼ1年にあたるので、1祀を1年としていたようです。これが周王朝になると収穫をもって年を数えていました。

 

こうした1年を数える周年祭や収穫祭とは別に、1年の推移を知ることができるのは気候です。そして気候に応じて咲くのが四季の花々です。中国では古くから植物の生長と農事との関係が暦として作成されていました。「月令(がつりょう)」と呼ばれる自然暦は、年間の儀式と農事を記録したものです。これが清朝の頃に月ごとに咲く特徴的な花を記した「花暦」が編纂され、江戸時代の日本にも伝来し、発展しています。装飾芸術(浮世絵、陶器の模様、服装デザインなど)や俳句の季語、花札遊びなど庶民の暮らしにも浸透していきました。江戸時代の花暦は花札としてもおなじみのものです。

花札は18世紀後半、賭博系かるた(カブ札など)が禁止されたため、その抜け道として考案されたものといわれていますが、四季の植物に花鳥風月を配した日本独特の風雅なかるたであるといえましょう。

 

  月     江戸時代  現代    中国   イギリス

1月  マツ    ウメ    ウメ   スノードロップ

2月  ウメ    ツバキ   モモ   サクラソウ

3月  サクラ   モモ    ボタン  スミレ

4月  フジ    サクラ   サクラ  デージー

5月  アヤメ   フジ    モクレン サンザシ

6月  ボタン   アジサイ  ザクロ  スイカズラ

7月  ハギ    クチナシ  スイレン スイレン

8月  ススキ   サルスベリ ナシ   ケシ

9月  キク    ハギ    アオイ  アサガオ

10月  モミジ   モクセイ  キク   ホップ

11月  ヤナギ   サザンカ  クチナシ キク

12月  キリ    ビワ    ケシ   セイヨウヒイラギ

 

高見澤