東藝術倶楽部瓦版 20170222 :科学的か迷信か?-暦注その7「暦の下段」後篇

 

おはようございます。今朝の東京は再び冬が到来したかのような風の冷たさを感じさせています。今、この瓦版でも暦の特集を続けているところですが、先週土曜日2月18日は旧暦1月22日に当たり正月中気「雨水」、そして次の次の日曜日3月5日は旧暦2月8日で2月節気「啓蟄」で、暦の上では既に春到来。しかし、現実はそううまくはいきません。まだまだ三寒四温の日が続きます。

 

さて、本日も暦注ということで、「暦の下段(暦注下段)」について紹介したいと思います。「下段」ということから、頒暦の下段に記された暦注です。これもまた科学的な根拠はなく迷信的な要素が強いとされていますが、昔の人にとっては生活する上での一つの指針になっていたようです。下段もまたさまざまなものがあるので、一つ一つを詳細に紹介していると時間がいくらあっても足りないので、主な解説だけにとどめます。その置き方などについては、今ではネットで紹介されたものを見れば分かりますので、今回は説明を省きます。

 

①天赦日(てんしゃにち)

1年で最高の大吉日。他の選日で凶日であっても一切関係なく、何の障害も起こらない日とされる。特に婚姻には最良の日。「よろずよし」とも記され、1年に4日しかない。

 

②受死日(じゅしび)

暦には●印で表示されるので、俗に「黒日(くろび)」とも呼ばれる。何事にも用いられない最悪日とされているが、葬式だけは差支えなしとされる。

 

③十四日(じゅうしび)

「十死一生日」、「天殺日」とも呼ばれ、「受死日」につぐ大悪日。受死日とおなじで何事にも忌むべき日で、葬式も凶とされる。

 

④帰忌日(きこび、きこにち、きこじつ)

天棓星(てんぼうせい)〔りゅう座のβ,γ,ζ,ν星〕の精である「帰忌」が天から降りてきて、家人の帰宅を妨害する日とされる。移転、旅行、帰宅、カネの貸し借りに凶。

 

⑤重日(じゅうび、じゅうにち)

陽の気が重なる「巳の日」と陰の気が重なる「亥の日」は、行ったことが重なるとされ、吉事には吉、凶事には凶となる。但し、婚姻は再婚につながるので凶。

 

⑥復日(ふくび、ふくにち)

重日とほとんど同じで、吉事には吉、凶事には凶。同様に婚姻は凶。善行は大吉。

 

⑦血忌日(ちいみび、ちいみにち)

梗河星(こうかせい)〔うしかい坐のρ,σ,ε星〕の精を「殺忌」、「日忌」、「血忌」と呼び、殺伐の気を司るとして、血を見ること大凶。鍼灸、狩猟、漁撈、刑罰の執行、嫁入りに凶。

 

⑧天火日(てんかび、てんかにち)

五行説では火性を「天火」、「地火」、「人火」の三才に分ける。このうち、天火は天の気が甚だしいとされ、棟上げや屋根ふきをすると必ず火災の難に遭うという。家の修造、移転も凶。

 

⑨地火日(ちかび、ちかにち)

火性の三才のうちの一つで、「天火日」と同じく厄日となる。大地の火気が激しく、土に関することは大凶。建築、種まき、建墓、井戸掘り、定礎、柱立てなどを忌む日。

 

⑩大過日(たいかにち)

「狼藉日(ろうしゃくにち)」、「滅門日(めつもんにち)」とともに「三箇(さんが)の悪日」のうちの一つ。「三箇」とは、貧窮、飢渇、障碍の三神と貧欲、瞋恚(しんい)、愚痴の三毒を表し、特に仏教では忌むとされる。三箇の悪日に共通するのは葬儀、仏事に凶。中でも大過日は最も大凶日で、改築、改修は忌む日。

 

⑪狼藉日(ろうじゃくにち)

三箇の悪日の一つ。万事に凶で、何事を行っても災難に遭い失敗するとされる。

 

⑫滅門日(めつもんにち)

三箇の悪日の一つ。万事に凶。何事かを行うと、一家一門を滅ぼすとされる。

 

⑬凶会日(くえにち、くえび)

陰と陽の気の調和がとれず、凶意が集まる凶日で、この日に吉事を行うと凶に転ずるとされる。

 

⑭往亡日(おうもうにち)

「往きて亡ぶ日」で、軍を進めることを忌む日。遠出、移転、婚姻、寺社仏閣への参詣などに凶。

 

⑮時下食(ときげじき、げじきどき)

日の吉凶ではなく、ある日の特定の時刻(一刻)だけが凶になる暦注。天狗星(てんこうせい)〔流れ星の一種〕の精が地上に降りて人間を喰らう時刻が「時下食」の時刻であるとして、この時間に食事をすると、その栄養を天狗星の精が吸い取り、人間に災いをもたらすというもの。食事のほか、種まき、開俵、沐浴、植樹に凶。

 

⑯歳下食(さいげじき)

「時下食」と同様に、天狗星の精が人を喰らいに地上に降りて来るが、こちらは時刻ではなく日を指す。軽い凶日とされ、他の吉日と重なれば忌む必要はないが、凶日と重なるとより重くなる。特に大食、大飲は忌むべきで、他は時下食と同じ。

 

⑰大明日(だいみょうにち)

天地に普く活気がみなぎり、隅々まで太陽の光が明るく照らすことから、すべての吉事や善事に大吉。特に婚姻、旅行、移転、建築に良し。

 

⑱天恩日(てんおんにち、てんおんび)

天が万物を憐れんで下界に恩恵を下し、万民に福を与える日。吉事には福を招くが凶事に用いてはならない日。特に婚姻、種まき、屋根ふきに吉。

 

⑲月徳日(つきとくにち、がっとくにち)

その月の福分を司る吉日。万事に障りのない日とされ、特に家の新築・改増築、動土などに吉。

 

⑳母倉日(ぼそうにち)

母が子を思うように、天が万物を憐れむ日。万物育成の気があり、特に普請、開業、婚姻に吉。

 

21.神吉日(かみよしにち、かみよしび)

神事に関することはすべて吉。祭祀、宮参り、地鎮祭、上棟祭りなどに良し。但し、不浄の事は忌む日。

 

以上、21項目の暦の下段について簡単に解説しましたが、このほかにもいろいろとありますので、調べてみると面白いと思います。日めくりのカレンダーを見るのが、一つの楽しみになるかもしれません。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2017年2月24日 09:29に書いたブログ記事です。

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