東藝術倶楽部瓦版 20170222 :科学的か迷信か?-暦注その6「選日」後篇

 

おはようございます。

最近のニュースといえば、金正男暗殺事件、米国トランプ旋風、東芝経営危機、稲田防衛相叩きなどお決まりの話題ばかりで、如何に日本国民がバカにされているかをうかがい知ることができるのではないでしょうか。日本人としての誇りを、国民一人一人がもつべき時ではないかと思うのですが、無理でしょうね...

 

さて、本日は前回に続いて「選日」後篇といきたいと思います。

 

5.一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)

一粒の種も蒔いて育てれば、実る稲穂のように万倍にもなって返ってくるという稲を例えたものです。何事にも良い事の初めに用いられ、特に開店や開業など、金銭を出すのによい日とされています。また、吉日と重なると効果は倍増、凶日と重なってもその凶によって善意が半減される程度ですむとも言われているようです。ただ、「すべてに吉だが、借りるのは凶」とされているように、一粒万倍は事の良否にかかわらず、増えて多くの数になる意味なので、その点は注意する必要があるのかもしれません。一粒万倍日の節切りは以下の通りです。

1月:午の日、丑の日

2月:寅の日、酉の日

3月:卯の日、子の日

4月:辰の日、卯の日

5月:午の日、巳の日

6月:午の日、酉の日

7月:未の日、子の日

8月:申の日、卯の日

9月:午の日、酉の日

10月:戌の日、酉の日

11月:子の日、亥の日

12月:子の日、卯の日

一粒万倍日は、宣明暦時代には暦注に記載されていたようですが、地方暦によっては記載されていないものもあり、また貞享暦以降は暦注から外されていました。

 

6.天一天上(てんいちてんじょう)

天一とは「天一神(中神、天乙、貴人)」という方位神で、十二神将(これについても日を改めて紹介)の主将です。天一神は天と地の間を往復し、地上にいる間(天一神遊行:てんいちじんゆぎょう、44日間)は常に八方位(東西南北とその四隅)を巡り、悪い方角を塞いで守っているので、これを犯すこと〔「塞(ふたがり)」〕を忌みされていました。これを「物忌み」といいます。どうしてもその方向に行かなければならない場合は、いったん別の方角に進み、それから目的地に行くという「方違え(かたたがえ)」が平安時代に流行りました。

この天一神が天上に帰っている「間日」の16日間、即ち「癸巳」から「戊申」の日までを「天一天上」といい、天一神の障りがないとされています。中でも最初の「癸巳」の日は「天一太郎」と呼んで、結婚には最高の吉日とされています。

【天一神が巡る期間と方位】

初日:己酉(つちのととり) 6日間 北東(艮)

初日:乙卯(きのとう) 5日間 東(卯)

初日:庚申(かのえさる) 6日間 南東(巽)

初日:丙寅(ひのえとら) 5日間 南(午)

初日:辛未(かのとひつじ) 6日間 南西(坤)

初日:丁丑(ひのとうし) 5日間 西(酉)

初日:壬午(みずのえうま) 6日間 北西(乾)

初日:戊子(つちのえね) 5日間 北(子)

初日:癸巳(みずのとみ) 16日間 天上

 

7.三伏日(さんぷくび)

陰陽五行説に基づく選日で、「初伏(しょぷく)」、「中伏(ちゅうぷく)」、「末伏(まっぷく)の3日を「三伏日」として凶日としています。種まき、旅立ち、結構、移転、事業開始に凶としています。一般的には、夏至以降、第3番目の「庚(かのえ)」の日を初伏、第4番目の庚の日を中伏、立秋後の初めの庚の日を末伏としています(諸説あり)。これもまた「十干」を理解していないとよく分からないと思いますが、「庚」は「金の兄(かのえ)」で、「金」の気に当り、夏は「火」の気が最も盛んな時であり、「五行相剋」から言えば「火剋金(金気は火気に負ける)」に当ることから、「庚」の日が凶日とされたわけです。その中でも三伏が大凶とされています。事項の挨拶で「三伏の候」というのは、この酷暑の時期を指しているわけです。

 

8.犯土(つち)

この「犯土」というのは十干十二支で「土」と「土」の気が重なる日を指します。「庚午(かのえうま)」の日から7日間を「大犯土(おおつち)」、「戊寅(つちのえとら)」の日から7日間を「小犯土(こつち)」と呼び、穴掘り、井戸掘り、種まき、土木工事など土を犯す行為は慎むべきとされています。

 

9.臘日(ろうじつ)

この「臘日」は、もともと狩猟の獲物を祖先に捧げるという中国の習慣からきたものです。「臘」とは、つなぎ合わせるという意味があり、旧年と新年の間にある旧暦12月を「臘月」と呼んでいました(中国では今でも使われています)。

冬は「水」の気で、五行相剋からいえば「土剋水(水気は土気に負ける)」であることから、「辰」の日を臘日としたとも解されています。神事や嫁取りに凶日とされています。

臘日のとり方は以下の通りです。

小寒後の2度目の辰の日(暦注計算での臘日)

大寒に最も近い辰の日

冬至後の3度目の辰の日

大寒後の最初の戌の日

 

以上、選日にはいろいろなものがあります。暦の下段(次回解説)も含め主な暦注に属さないものをすべげ選日としていますので、その数も多くなるわけです。地方暦などもあり、調べてみると他にも面白い暦注が見つかるかもしれませんね。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2017年2月22日 17:20に書いたブログ記事です。

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