東藝術倶楽部瓦版 20170412 :記紀万葉以前から使われていた「和風月名」

 

おはようございます。昨日の雨もすっかり上がり、今朝の東京は明るい日差しが窓を通して差し込んできます。天気予報によれば、気温も大分上がるようです。

 

さて、具体的な年中行事の話に入る前に、「和風月名(わふうげつめい)」について少しお話をしておいた方が宜しいかと思います。一般には旧暦において使われていた各月の日本風の名称のことです。時々、現在でも使われたりしていますが、季節に合わせて名づけられた和風月名は、現在の時期と多少のズレがあることを感じざるを得ません。それぞれの月名の由来は諸説ありますので、本メルマガでは各月の行事を説明する際に、ご紹介していければと思います。

 

1月ー睦月(むつき)

2月ー如月・衣更着(きさらぎ)

3月ー弥生(やよい)

4月ー卯月(うづき)

5月ー皐月・早月(さつき)

6月ー水無月(みなづき、みなつき)

7月ー文月(ふみづき、ふづき)

8月ー葉月(はづき、はつき)

9月ー長月(ながつき、ながづき)

10月ー神無月(かみなづき、かんなづき)

11月ー霜月(しもつき)

12月ー師走(しわす)

 

先ほどもご説明した通り、和風月名は旧暦に基づいているので、春は睦月、如月、弥生で、夏は卯月、皐月、水無月で、秋が文月、葉月、長月で、冬が神無月、霜月、師走となります。こうした月名は子供の命名にも使われることもあり、「やよいちゃん」は3月生まれと推測できますね。そういえば、宮崎駿監督の「トトロ」に出てくる主人公の「サツキ(皐月)」と「メイ(May)」は、どちらも5月生まれなのでしょうか?

 

この和風月名ですが、日本古来のものであると考えられますが、その起源には昔から諸説あって定かではありません。文献として現存する最古の記述は、奈良時代720年に成立した『日本書紀』です。その「神武紀」のなかの戊午年(神武天皇即位がBC660年とするとBC663年)を中心に、「二月」、「三月」といった漢字に片仮名で「キサラギ」、「ヤヨヒ」のように訓が施されているとのことです。

二月ーキサラギ

三月ーヤヨヒ

四月ーウヅキ

五月ーサツキ

六月ーミナヅキ

八月ーハヅキ

九月ーナガヅキ

十月ーカミナヅキ

十有一月ーシモツキ

十有二月ーシハス

 

この中では一月と七月が抜けていますが、神武天皇即位の「辛酉年(BC660年)正月」を「ムツキ」と読ませ、「安寧紀」には安寧天皇即位の月として「七月」を「フミツキ」と読ませています〔壬子年(BC549年)〕。

 

こうした名称は、記紀万葉の時代から現代までほとんど変わっていません。日本において、この和風月名は、かなり昔から使われていたことが分かります。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2017年4月12日 11:27に書いたブログ記事です。

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