東藝術倶楽部瓦版 20170512 :恵方詣と初詣ー今年の恵方は北北西やや北(亥子)

 

おはようございます。今日は金曜日、あっという間に時間が過ぎてしまうことに、哀しみを感じる歳になってしまいましたが、それでも気力は十分、色々なことに挑戦していきたい気持ちだけが先行し、中々身体がそれに着いていけないのが残念なところです。

 

さて、本日もまた睦月の年中行事のお話をしたいと思います。テーマは「恵方詣(えほうまいり)」です。以前、本メルマガでも「暦注」の「八将神」のところで、移動する方位神として「歳徳神(としとくじん)〔恵方〕」が尊ばれることを紹介したことがあるかと思います。この歳徳神は正月の神とされ、その年の福徳を司ると言われています。この神がいる方角を「恵方」といい、江戸時代までは年初に居住地からみてその方角にある寺社に参詣するのが一般的な恵方詣でした。今では方角に関係なく詣でる習慣が定着し、「初詣(はつもうで)」とされているので、恵方を気に掛ける風習はほとんどみられません。

 

この恵方は、十干に従って毎年変わります。陰陽道では、方位に十干を配当し、その十干は陽干(甲、丙、戊、庚、壬)と陰干(己、辛、癸、乙、丁)に分けられます。そして、徳は陽干、すなわち「兄(え)」に生じ、陰干、すなわち「弟(と)」には徳がないとされていました。この十干について、甲と己、乙と庚、丙と辛、丁と壬、戊と癸の5組が組み合わせられ、それぞれ2つの干の間には密接な関係があり、それが出会うと合して一体となるとされています。これを「干合」といいます。この干合の関係からその年の「徳神」、すなわち恵方が決められます。ですから陽干の年であれば自らの方角が徳神であり、陰干の年であれば干合する相手の方角が徳神となります。つまり「兄」の方角である「兄方」が縁起をかついで「恵方」となったとも考えれます。

 

今年2017年は十干十二支でいえば「丁酉(ひのととり)」ですから、陰干の年です。その干合する相手は「壬(みずのえ)」ですから、その方角は「北北西やや北」、「亥子(いのこ)」の方角が恵方になります。

 

今年はもう既に正月が過ぎてしまいましたので、今さら恵方詣というわけにもいきません。普段初詣に行っている寺社がその年の恵方にない場合、一旦別の方角に行ってから恵方に向かって目指す寺社に詣でるという「方違え(ほうたがえ)」という方法もあります。信じる信じないは別として、このような風習が江戸時代までは行われていたことを知っておくことも一興ではないでしょうか?

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2017年5月12日 10:39に書いたブログ記事です。

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