東藝術倶楽部瓦版 20170704 :暑さ寒さも彼岸まで

 

おはようございます。7月に入り、今日で4日目。ジメジメとした暑さが続き、やっと夏も近づく梅雨らしい季節感となりました。台風3号も九州に上陸、大雨による土砂災害にも注意が必要です。東京では都議会選で自民党が惨敗、時代の大きな流れの変化を肌で実感しているところです。

 

さて、本日は「暑さ寒さも彼岸まで」でお馴染みの「彼岸」がテーマですが、その前に暦注として、一つ説明し忘れていた「雑節(ざつせつ)」について一言。暦注として「二十四節気」や「五節句」などの暦日について既に紹介した通りですが、この他に1年間の季節の移り変わりを暦日の補助的な意味合いで設けられた特別な日があります。それが雑節です。いずれも日本人の長い生活体験から生まれたもので、主に農作業がその基準になっています。一般に雑節と呼ばれるものは以下の通りです。

 

①節分、②彼岸、③社日(しゃにち)、④八十八夜、⑤入梅、⑥半夏生(はんげしょう)、⑦土用、⑧二百十日、⑨二百二十日

 

いくつか耳にした言葉があるかと思いますが、つい先日の7月2日は半夏生でした。節分については既に紹介済みで、その他の雑節については改めて紹介していきたいと思います。

 

先ずは「彼岸」ですが、そもそも「彼岸」という言葉は、もともと仏教でいうところの悟りを開いた後の涅槃の境地に達することで、それに対して今我々が無明の中にいるこの世界を「此岸(しがん)」と呼びます。人が死んだ後の「あの世」とは全く別の世界です。そもそも「仏」という極めて尊い存在に対して、日本では死んだ人を仏と呼ぶ間違った教えが広がり、それが先祖供養と結びついて、彼岸に墓参りという習慣が生まれたものと思われます。彼岸という雑節は日本独自のもので、もともと寺院行われていた祭事であったものが、暦に記載されて雑節となったようです。

 

彼岸は、春と秋の二期、すなわち春分の日と秋分の日を挟んで前後三日ずつ、計7日間を指します。彼岸の初めの日を「彼岸の入り」、終わりの日を「彼岸の明け」、春分と秋分の日を「彼岸の中日」と呼びます。一般に彼岸と言った場合は、春の彼岸を指し、秋の彼岸は「秋彼岸」または「後の彼岸」と呼びます。

 

彼岸の間、寺院では「彼岸会」と呼ばれる仏事が行われ、民間の間では御萩、団子、海苔巻、稲荷寿司などを仏壇に供え、墓参りをする習慣があります。平安初期にこの習慣が始まったとも言われていますが、日本独自の習俗に寺院での行事が結び付いたもののようで、彼岸に墓参りをするようになったのは江戸時代になってからです。この季節は、気候的にも穏やかでお出掛け日和が続くことから、こうした風習が生まれたのかもしれません。

 

春分・秋分が彼岸と結び付いた理由として、この日には太陽が真西に沈むことから、阿弥陀如来の「西方極楽浄土」と結び付けて浄土を希求したという説、昼と夜が同じ長さになる日なので「中道」の精神に合致しているからだという説などがあります。

 

高見澤