東藝術倶楽部瓦版 20170705 :五穀豊穣の祈願と収穫への感謝ー社日

 

おはようございます。昨夜は台風3号の影響もあり、東京でもかなり激しい雨に見舞われました。たまたま昨日は帰りが比較的早かったため、土砂降りの時間は回避できたのが幸いでした。

 

さて、本日は「雑節」にもある「社日(しゃにち)」について紹介したいと思います。社日の「社」とは、生まれた土地の守護神である「産土神(うぶすながみ)」のことを指します。社日とは、その産土神を祀る日のことです。

 

前回もお話ししましたが、雑節は農作業に基づいて設けられた日ということで、この社日は農作業が始まる節目である春と、収穫の節目である秋に設けられています。具体的には春分と秋分に最も近い「戊(つちのえ)」の日とされていますが、春分や秋分の日が「癸(みずのと)」の日になる場合は、戊の日同士の中間日になるので、春分・秋分の瞬間が午前中ならば前の戊の日、午後ならば後の戊の日とするのが一般的です。春の社日を「春社(はるしゃ・しゅんしゃ)」、秋の社日を「秋社(あきしゃ・しゅうしゃ)」とも呼んでいます。ちなみに、今年(2017年)の春社は3月22日(水)、秋社は9月18日(月)となっています。

 

では、なぜ戊の日なのでしょうか? 十干のところでも解説しましたが、「戊」は「つちのえ」と読み、「土の兄」の意味があります。「兄(え)」とは陰陽五行説でいうところの「陽」、光の側を指します。つまり、「土」が「陽」の気を得れば作物が育つことになり、これが五穀豊穣につながると考えられたわけです。ですから、春社には豊作を祈り、秋には収穫に感謝するという習わしになったということでしょう。

 

尚、社日は古来中国から伝わったようで、唐の時代(618907年)には立春・立秋後の第5番目の戊の日とされ、村人たちは仕事を休んで叢林の中にある祠に集まり、酒や肉を供えた後、そのお供え物で飲み食いし、神楽(かぐら)なども奏でられて、1日を楽しんだようです。春社には五穀の豊作を祈願、秋社には収穫の感謝と翌年の農作物の占いが行われたと言われています。この社祭は元代に廃止され、急速に衰えていったようです。

 

高見澤

2021年1月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

このブログ記事について

このページは、東藝術倶楽部広報が2017年7月 5日 08:56に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20170704 :暑さ寒さも彼岸まで」です。

次のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20170706 :菜の花や月は東に日は西にー春霖」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

ウェブページ