東藝術倶楽部瓦版 20170706 :菜の花や月は東に日は西にー春霖

 

おはようございます。今朝の東京は晴れ、本日も暑くなりそうですが、九州では台風3号が去った後でも豪雨が続き、大きな被害が出ているようです。最大限の警戒が必要とのことですが、どのような対策が打てるのか、国や地方自治体として責任を持って対応することが求められています。政治家がお互いに足の引っ張り合いをしている場合ではありません。

 

さて、本日のテーマですが、梅雨に入り大分時間が経ち、そろそろ梅雨明けも近いのではないかと思います。この梅雨の前に、「春の長雨」という時期があることは、民さんご存知のことと思いますが、この3月下旬から4月にかけてシトシト降る長雨のことを「春霖(しゅんりん)」と言い、これは年中行事というよりも、弥生の風物詩の一つでしょうね。ちょうど菜の花の咲く季節ということもあり、「菜種梅雨(なたねづゆ)」とも言われています。また、「催花雨(さいかう)」とも呼ばれ、花の開花を催す雨という意味合いもあり、更にはシトシト降る「春雨(はるさめ)」の姿から、緑豆で作る食べ物の春雨の語源にもなっています。

 

この季節は、移動性高気圧と低気圧が交互に日本列島にやってきます。高気圧に覆われると晴れになる、低気圧になると雨や曇りになることはご存知かと思います。高気圧が日本の北を通ると、高気圧の南や西の端では雲ができやすくなり、これがいわゆる「前線」となります。日本の北側に高気圧、南に低気圧が生じると、この前線が停滞し、雨や曇りの日が続きます。これが菜種梅雨、すなわち春霖が生じる原因です。

 

この冬から春への変わり目の長雨である菜種梅雨の他にも、春から夏への変わり目に生じる「梅雨」、夏から秋への変わり目に生じる「すすき梅雨」、秋から冬への変わり目に生じる「山茶花(さざんか)梅雨」なんていうのもありますので、酒の席での話の種になるかもしれません。

 

蕪村の句に「菜の花や月は東に日は西に」というのがあります。先ほどの菜種ですが、これはアブラナ(油菜)である菜の花から採れる植物油のことです。今では食用油として使われますが、江戸時代は灯火用の高級油としても使われていました。菜の花自体は主に関西で広く栽培されていましたが、現在、伊豆や房総半島で栽培されている野菜としての菜の花とは別の種類で、こちらは「ナバナ」と呼ばれるものです。

 

時にはうっとうしい雨ですが、季節を素直に感じられる雨であって欲しいものです。

 

高見澤