おはようございます。今週日曜日9日から2泊3日で北京に出張してきました。北京では思ったより蒸し暑く、最高気温は34℃と東京よりも暑く感じました。以前として大気汚染は酷かったのですが、少しずつ改善されているようには感じられました。
さて、本日の話題は弥生にちなんで、春の女神とされる「佐保姫(さおひめ)」について紹介したいと思います。
古来、日本には季節を司る女神が存在するとされてきました。
春:佐保姫(さおひめ)
夏:筒姫(つつひめ)
秋:竜田姫(たつたひめ)
冬:宇津田姫(うつたひめ)
中国から伝来した「五行説」と絡めて、それぞれの季節にはそれぞれ方角が定められており、春は東に配当され、平城京の東にある佐保山を神格したものとされています。ちなみに、平城京の西には竜田山があります。佐保山とは、奈良盆地を流れる佐保川北方にある丘陵の総称です。
この春の女神「佐保姫」は、人には姿を見せず、天地万物の春色を織りなすと伝えられています。ウグイスの鳴き声が、佐保姫の笛にみたてられることもあります。
「佐保姫の霞の衣ぬきをうすみ花の錦をうすみ花の錦をたちやかさねむ(佐保姫の着る霞の衣は横糸が少ないので、花の錦を重ね着するのであろうか)」後鳥羽院『後鳥羽院御集』
「佐保姫の染めゆく野べはみどり子の袖もあらはに若菜つむらし(佐保姫が緑に染めていく野辺では、幼い娘たちが袖から腕もあらわにして若菜を摘んでいるらしい)」順徳院『順徳院集』
「佐保姫の糸染め掛くる青柳を吹きな乱りそ春の山風(佐保姫が染めた糸を掛けた柳の枝を吹き乱さないでおくれ春の山風よ)」平兼盛『詞花集』
春の野山にかかる霞は、佐保姫の織りなす薄い布であると解され、その情景は上記のように多くの和歌や物語に描かれています。
高見澤