東藝術倶楽部瓦版 20170719 :万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也-清明

 

おはようございます。今朝の東京は比較的涼しさを感じました。とはいえ、もうすぐ梅雨明けになるとの話で、これから暑さが本番になることでしょう。束の間の涼しさなのかもしれません。今の地球は何が起きても不思議ではありません。常に平常心を保ちつつ、適切に対応していくことが大事です。過去の経験から学ぶことは少なくありません。

 

さて、本日は「清明(せいめい)」について紹介していきたいと思います。清明は以前にも説明しましたが、「二十四節気」の一つ、三月の節気で、新暦でいえば4月5日頃(定気法)です。定気法では、太陽黄経が15度の時で、暦ではそれが起こる瞬間を含む日ですが、天文学的にはそれが起こる瞬間を指します。期間としては、次の3月の中気である「穀雨」までを指すこともあります。

 

気候が穏やかで、空気が清々しく感じられる時なので、清明というのだそうですが、江戸時代に書かれた『暦便覧』に、「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也(空気は澄み、陽光は明るく万物を照らし、全てがはっきり鮮やかに見える頃)」とあり、この「清浄明潔」を略したものと言われています。

 

中国では、この日を「清明節」と呼び、祝日として休みになっていて、先祖の墓参りかたがた郊外に出て、野山で宴を張る風習があります。古代中国では、冬至後の105日目の前後2~3日間は火の使用を禁じ、あらかじめ料理しておいた冷たいものを食べる風習がありました。この日を「寒食節(かんしょくせつ)」と言い、清明節はちょうどこの寒食節明けにあたるので、清明節の早朝にニレやヤナギの枝を燃やし、新しい火を起こしていたそうです。

 

沖縄では、今でも「清明祭(ウシーミー)」と呼ばれる墓参の行事が行われていますが、これもまた中国の清明節が伝わって定着したものです。

 

中国北京にある故宮博物院には、北宋時代の都・開封(河南省)の清明節頃の都城内外の賑わった様子を描いた「清明上河図(せいめいじょうがず)」という絵巻が所蔵されています。当時の開封府の内外の人々が行き来して、都が繁栄し活気に満ちている姿を描いたものです。春たけなわの季節に、芸術的には精細な描写としての価値があり、当時の市街の様子や風俗を描いたものとして、資料的にも価値が高いとされています。2011年に上海で開催された上海万博の中国館では、この「清明上河図」のマルチメディアを駆使した電子版が展示されており、中に描かれている人や動物が絵の中を動き回る姿が映し出されていました。古きものと現代の科学技術の融合の成果の一つとして注目すべきものの一つです。

 

高見澤