東藝術倶楽部瓦版 20171010:亡母を救うウランバナー「お盆」

 

おはようございます。この三連休は、皆さんはどのようにお過ごしだったでしょうか? 幸いにも天気にも恵まれ、行楽に出掛けられた方もいたのではないかと思います。私は、8月に亡くなった父の四十九日の方法で故郷に帰っていました。8日に法要を済ませて中央高速を使って東京に戻ってきたのですが、酷い渋滞につかまってしまい、通常であれば3時間半から4時間もあれば着くのに、6時間も費やしてしまいました。連休中日の夜の首都高4号線の上りは、当然混雑が予想されるところですが、新宿から三宅坂の区間に道路工事のための車線規制が行われており、これがまた酷い渋滞の原因となっていました。これが急な補修工事であれば仕方ないと思うところですが、そうでなければ、東日本高速道路による道路整備の計画性のなさに呆れるてしまいます。今の日本、何の考えもなしに、ただスケジュールに従って事を行う風潮が増えています。こんな日本に「おもてなし」を語る資格はありません。

 

さて、8月といえば、何と言っても楽しみなのが夏休みです。最近ではフレックスに、一定期間内に交代で休みをとる制度を採用している企業もありますが、一般的には「お盆」を挟む時期を一斉に夏休みとしている企業が多いかと思います。ということで、本日は「お盆」について紹介したいと思います。

 

このお盆は、正式には「盂蘭盆(うらぼん)」と呼び、古代インド語の一つであるサンスクリット語(梵語)の「ウランバナ」が中国に伝わって漢字に当てはめられたものとのことです。釈迦の弟子である目連が、餓鬼道に堕ちた亡母を救うために、釈迦から教えられた衆僧供養(比丘への布施)を「安居」最後の日に行ったとされることから、旧暦7月15日を先祖供養の大切な日となったと伝えられています。ただ、この説話が書かれている「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」自体が「偽経」ということで、経典が中国に伝わってから撰述・抄出されたものとされており、物語の真偽は定かではありません。

 

一方、中国では仏教が伝来する以前から死者への祖霊の儀式があり、「ウランバナ」とこの儀式が一緒になって日本に伝わり、日本独特の祖霊信仰になったとされています。お盆の時期には、お寺では「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という法要を執り行いますが、各家庭では故人の霊が帰ってくるといわれ、お供えや提灯を飾ってお迎えします。

 

お盆の時期は、江戸時代以前は旧暦7月15日を中心として、13日に迎え火(迎え盆、宵盆)、16日に送り火(送り盆)を行っていました。新暦になると、お盆の時期が農作業の繁忙期と重なるため、ひと月遅れの8月13日から16日にお盆を迎えるようにするところが多くなり、一般的にお盆は8月というイメージが広がっていますが、地域によっては今でも7月13日から行うところもあるようです。

 

迎え盆には、夕刻にオガラ(麻の茎)を焚いて迎え火とし(魂迎え)、送り盆の夜に再び焚いて送り火(魂送り)とします。我が故郷(長野県佐久地方)では、稲わらを焚いていました。各地で行われる「灯籠流し」や「精霊(しょうろう)流し」も魂送りの民俗行事です。毎年8月16日に行われる京都の「大文字焼き」も魂送りの送り火です。

 

お盆の期間中、各地の寺社境内や広場などでは、櫓を組み、太鼓や笛の音に合わせて老若男女が輪になって踊る「盆踊り」が行われます。死者を供養する念仏踊りが始まりとされており、中世以降、都会や農村の民衆行事として定着しています。毎年8月12日から15日まで行われる徳島県の阿波踊りも、この盆踊りの一種とされています。

 

最後にもう一つ、豆知識として「新盆(にいぼん、あらぼん、しんぼん、はつぼん)」について紹介しておきたいと思います。この新盆は故人の四十九日が済んだ後に初めて迎えるお盆のことです。新盆には、故人の霊が初めて家に戻ってくることから、普段のお盆よりも丁寧にお迎えをする習わしがあります。我が家にとっても来年8月のお盆が新盆になります。

 

高見澤