おはようございます。本日午前3時過ぎに北朝鮮がまたもや弾道ミサイルを発射し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したとの報道が流れています。混沌とする北朝鮮情勢、これから先、何が起こるかまったく想像ができません。このような世界で、我々はどう生きていくのか、適切な判断と正しい行動が求められています。
さて、本日のテーマは秋ならでは代表的行事、「紅葉狩り(もみじがり)」です。紅葉狩りは言わずもがな、山野に秋の草木の紅葉を訪ね、愛でる行事で、毎年10月下旬から11月下旬まで楽しむことができます。
朝の気温が8~9度に下がると紅葉が始まり、低くなるほど深紅に染まると言われます。もっとも美しいとされるのはカエデ類で、一般に「モミジ(紅葉)」といえば「カエデ(楓)」、中でも特に「イロハカエデ(イロハモミジ)」を指しています。ところで、よくモミジとカエデの違いが話題になることがあります。実はどちらもカエデ科カエデ属の植物で分類上は同じなのです。普通、葉の見た目で使い分けており、葉の切れ込みが深いカエデを「○○○モミジ」、浅いカエデを「○○○カエデ」と呼んでいます。ですから、イロハカエデは「イロハモミジ」というのが一般的だと言えます。カエデとしては「ハウチワカエデ」が代表的です。
このモミジの語源ですが、秋に草木が黄色や赤色に変わることを意味する動詞「もみず」に由来しているとのことです。「もみず」が名詞化して「もみじ」になり、それが転じて、特に目立って色が変わるカエデの仲間を「モミジ」と呼ぶようになったそうです。一方、カエデの語源は、葉の形が蛙の手に似ているので「かえるで」、それが後に「カエデ」となったと言われています。
モミジやカエデ以外では、イチョウ、サクラ、ナラなどの色づきは「黄葉(もみじ)」と表され、野草の色づきは「草紅葉(くさもみじ)」と呼ばれます。
「ちはやぶる神代も聞かず竜田川 から紅(くれなゐ)に水くくるとは」
お馴染み百人一首で有名な在原業平〔天長2年(825年)~元慶4年(880年)〕の歌です。陰陽五行説では、秋は西に配当されます。奈良の都の西にある竜田川が紅葉の名所となり、秋を司る女神は「竜田姫」と呼ばれるようになりました。山麓から山腹、山腹から山頂へと進み行く紅葉は、竜田姫が織る錦にもたとえられています。
このように、古くから日本人に愛でられていた紅葉は詩歌にも多く詠われてきましたが、室町時代の猿楽師(能楽師)観世小次郎信光〔永享7年(1435年)~永正13年(1516年)〕作の能にも「紅葉狩り」というのがあります。
江戸時代中期になると、庶民文化が華やかになり、紅葉狩りも行楽の一つとして盛んに行われるようになります。お伊勢参りなど旅行ブームが起こりますが、その火付け役になったのが『東都名所図会』等の名所案内本です。紅葉の名所を紹介すると、たちまちそこに人が押し寄せたというのですから、浮世絵の影響といったら今のマスコミによる名店の紹介にも匹敵するものであったことが分かります。紅葉した木の下に幕を張り、お弁当やお酒を持ち込んで楽しむ姿はまさに花見と同じ、江戸庶民の遊興の一つでした。
高見澤