おはようございます。
本日は二十四節気の一つである「霜降(そうこう)」について紹介したいと思います。霜降は9月の中気、定気法では太陽黄経210度、新暦では10月23、24日頃及び立冬までの期間を指します。霜降は「しもふり」とは読みません、念のため!
旧暦10月の和風月名は「神無月」ですが、別名「初霜月」とも呼ばれています。秋が一段と深まり、朝霜が見られる頃ということで霜降と呼ばれているのでしょう。特に朝晩は冷え込み、日が短くなったことを実感する季節です。初霜の知らせを聞く時期でもあり、山野の紅葉が見頃となります。コートや暖房器具の準備など、冬支度を始めるのもこの時期です。
「かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける」
お馴染み百人一首の大伴家持〔養老2年(718年)~延暦4年(785年)〕の歌です。この歌にある「夜更け」という言葉にちなんで、十二支による時刻制度とは別に、日没から翌日の夜明けまでを五等分して時刻を示す言い方がありました。それが「五更(ごこう)」です。
五更は古代中国で用いられていた時刻制度で、それがいつの間にか日本でも用いられるようになりました。宵の口を「初更(しょこう)」、次が「二更(にこう)」、続いて「三更(さんこう)」、「四更(しこう)」となり、そして最後が「五更」と呼びます。初更は「甲夜(こうや)」とも呼び「戌」の刻(午後8時前後の2時間)、二更は「乙夜(いつや)」と呼び「亥の刻(午後10時前後の2時間)」、三更は「丙夜(へいや)」と呼び「子の刻(午前0時前後の2時間)」、四更は「丁夜(ていや)」と呼び「丑の刻(午前2時前後の2時間)」、五更は「戊夜(ぼや)」と呼び「寅の刻(午前4時前後の2時間)」をそれぞれ指します。
この五更のうち、霜が降りるのは最も気温が下がる午前3~5時頃です。晩秋においては四更の終わりから五更にかけての時間帯でしょうか。先の大伴家持の歌は、ちょうどこの時間帯の様子を表したものかもしれません。
· 高見澤