おはようございます。昨日、我が職場の賛助会員企業向けのセミナーを開催しました。講師は「時論公論」などニュース解説番組でお馴染みのNHK・神子田章博解説委員にお願いし、米中貿易摩擦についてお話をしていただきました。神子田氏とは北京駐在の時期が重なり、それ以来何かとお付き合いしている関係で講演をお願いしやすかったこともあり、G7や米朝首脳会談が終わった段階でのグッドタイミングでのセミナーとなりました。イラストや写真を使った解説風の語り口で、取材もきちっとされていて、分かりやすく興味深かい内容の連続でした。
さて、本日から暫くは「遠国奉行(おんごくぶぎょう、えんごくぶぎょう)」についてお話ししていきたいと思います。遠国奉行とは、江戸時代に幕府直轄の要地に配された諸奉行、いわゆる地方官の総称です。寺社奉行や町奉行、勘定奉行など江戸在勤の奉行に対し、地方在勤の奉行を一般に遠国奉行と称していたもので、遠国奉行なる職制があったわけではありません。
遠国奉行には、京都、大坂、駿府の各町奉行のほか、伏見、長崎、堺、佐渡、奈良、山田、日光、浦賀、下田、羽田、新潟、箱館、松前、大津、清水、神奈川、兵庫などの各奉行がありました。江戸時代において、各奉行の成立時期や廃止時期等はまちまちで、必要に応じて設置されたり、廃止・統合されたりしています。
遠国奉行の職制は役方に分類され、一般的に所轄地域の特性に合わせた行政、司法、警察の職務を担っていました。遠国奉行の首座は長崎奉行とされており、伏見奉行が大名から任じられていた以外は、旗本から任じられるのが一般的でした。
いずれの奉行も老中支配で、役高は任地によって異なりますが概ね1,000石から2,000石、役料は500俵から2,000俵(伏見奉行は3,000石)です。定員も任地によって異なり1名から数名で、江戸と任地交代の2人体制をとる場合が多かったようです。配下には与力と同心、そのほかに地役人を属僚としていました。これら遠国奉行から幕府中央の重要な役職に転ずる者も少なくありませんでした。
次回以降、それぞれの遠国奉行について解説していきたいと思います。
高見澤