おはようございます。 今朝未明、北海道で震度6強の地震が発生しました。土砂崩れや家屋倒壊等の被害も出ているようですが、被害の全容はまだ分かっていません。一昨日の台風21号によって関西地方が大きな被害を受けたばかりだというのに、今度は北海道で大打撃を受けた形となりました。一刻も早い災害対策の強化が急務です。東日本大震災から早7年、過去の教訓が活かされていない行政の甘さが浮き彫りになるかもしれません。
さて、本日も江戸町奉行所の裁判方の役職についてみていきたいと思います。前回は裁判官の役割を担った吟味方与力及び同心について紹介しました。現在の裁判所においても判事以外に、資料を作成したり、事務を行ったりなど数多くの業務が行われているように、江戸町奉行所でも吟味方以外にもいくつかの専門的な業務がありました。
まず、容疑者の犯罪の罪因や情状、過去の判決等の先例を調べて書類を作り、裁判の記録を行う「例繰方(れいくりかた)与力」です。例繰方与力は、事件内容と判例を記録する「機密書類御仕置裁許帳」を作成しますが、これが刑事事件の判決を決める基礎となりました。この与力の定員は2名で、その配下に「例繰方同心」4名がいました。
次に紹介するのは「赦帳撰要(しゃちょうせんよう)方人別帳掛与力」です。判決を受けた囚人に対して、刑の執行前に罪人の名簿と罪状を作成したり、恩赦が出された際に用いることができるよう恩赦該当名簿を作成し奉行に提出したりする職務です。また、判例集である「撰要類集」や江戸の名主から提出された人別帳も取か使っていました。この与力定員は4名で、その配下に「赦帳撰要方人別帳掛同心」8名がいました。
そして、もう一つが「御出座御帳掛同心」です。評定所の式日には、町奉行は老中に事件の名簿を提出することになっていました。その名簿作成の任にあたっていたのが御出座御帳掛同心でした。この役職に与力は置かれず、町奉行直属となっていました。定員は同心2名です。
次回は町の治安を担った町奉行所の役職について紹介していきましょう。
高見澤