おはようございます。明後日からいよいよ日本経済界の大型訪中団「日中経済協会合同訪中代表団」が始まります。日中経済協会会長の宗岡新日鐵住金会長を始め、経団連会長の中西日立製作所会長、日本商工会議所の三村新日鐵住金相談役など、経済界のトップリーダー30名余を含む総勢240名が参加しています。昨夜も準備に追われ、帰宅したのは深夜12時近く、今朝もこうして朝早く出勤しています。私も事務局として1週間、北京及び浙江省杭州に行きますので、来週の瓦版はお休みします。
さて、本日は江戸町奉行所の治安機能について紹介したいと思います。一般庶民にとって最も馴染の深い町奉行所の役割といえば、犯罪捜査や犯罪者の逮捕のほか、法令の施行の視察・監査、巡回などの警察業務を行っていた「定町廻り(じょうまちまわり)同心」でしょう。
定町廻り同心の定員は南北合わせて12名で、交替で中間や小者を引き連れて各町にある自身番屋を見回り、自身番などから事件発生の報告を受けると、自身番屋で事情を聞き、捕縛の必要があると判断すれば、犯人が住む町の御用聞き(岡っ引き、下っぴき)を捕縛のために現場に向かわせました。もちろん、同心自身が赴く場合もありました。見回りには、法令違反の取り締まりや民情視察もその役目に含まれていました。
定町廻り同心のほかに、「臨時町廻り(りんじまちまわり)同心」がいました。臨時町廻り同心は、長年定町廻り同心を務めた古参の者がなります。こちらも定町廻り同心と同様に南北合わせて12名で、定町廻りの予備隊的な位置づけだったと考えられます。定町廻り同心の見回りコースは一定であるのに対し、臨時町廻り同心は彼らが見落としがちな場所を主に見回っていました。時には定町廻り同心の指導や相談にもあたっていました。
そして、もう一つが「隠密廻り同心(おんみつまわりどうしん)」です。隠密廻り同心は、定町廻り同心や臨時町廻り同心と異なり、犯人を逮捕することはせず、事件の裏付け捜査や証拠集めなどを専門に行っていました。変装したり、御用聞き等を使って非番月番に関係なく、管轄地域を巡回していました。定員は南北合わせて4名でした。「隠密同心心得の條。我が命我がものと思わず、武門之儀、あくまでも陰にて己の器量伏し、御下命如何にしても果す可し。尚、死して屍拾う者無し」でお馴染みの時代劇「大江戸捜査網」に登場する隠密同心というのがこれに当りますが、やはり時代劇と実際とはかなりその性質が異なっています。
定町廻り同心、臨時町廻り同心、隠密廻り同心の以上3役は、一般に「三廻り」、或いは「廻り方」とも呼ばれ、上司としての与力は置かれておらず、いずれも町奉行直属の同心として配置されていました。
高見澤