東藝術倶楽部瓦版 20180920:江戸時代の特別捜査・災害対策本部-「定触役」、「引纏役」、「定中役」

 

おはようございます。韓国の文在寅大統領が北朝鮮の平壌を訪れ、金正恩朝鮮労働党委員長との間で南北首脳会談が行われています。韓国と北朝鮮の政治・社会体制が異なるだけに、南北統一への道はそう簡単ではないと思われますが、ソ連崩壊、東西ドイツ統一の例もあることから、時には常識を覆すような大きな変化があるかもしれません。トランプ政権によって従来の米国の位置付けも変わっているように、世界が大きな転換の渦の中にあることは間違いありません。さて、この変化が吉と出るか、凶と出るかは神ですら判断に迷うところでしょう。地球人の総意が現象として現れてくるのですから...。

 

さて、今回は江戸町奉行所の治安部隊の中でも、「出役(しゅつやく/でやく)」であった「定触(じょうふれ)役同心」、「引纏(ひきまとめ)役同心」、「定中(じょうちゅう)役同心」について紹介したいと思います。

 

出役とは、決められた本来の役職である「本役」をもっている者が、臨時に他の役を兼ねること、すなわち兼務職のことを指します。普段は治安の安定している江戸市中でも、突然の事件や出火などで三廻り同心や町火消人足方だけでは対応できない場合が出てきます。そうした場合に、上記のような臨時職が重要な役割を果たすことになるのです。これらの役職は町奉行直轄で与力は置かれず、同心のみで構成されていました。

 

先ず、定触役同心です。これは臨時に出動事件があった時に、それぞれの担当者の割振りを行っていた役職です。例えば、捕物・検使の出役や評定所の式日、祭りや将軍家の法事などの各種行事の警備、火事場や死体検分等の出役を担当する同心を割り振ることで、定員は3名となっていました。

 

次に、引纏役同心です。これは火災が発生した際に、町奉行の出馬に従って伝令や雑務を行っていた役職です。定員は2名でした。

 

そして、定中役同心です。これは捕物や検使出役など臨時に発生した事件等に際し、臨機応変に必要な職務に従事する役職で、定員は2名となっていました。

 

現在でも、大きな事件が発生した場合に、臨時的に特別捜査本部が設けられたり、大きな災害の際にも臨時に災害対策本部が設置されたりすることがあります。日頃から事件や災害を予防する措置を講じておくことも大事ですが、それでも予測できない事態が発生した場合に備えて、適宜的確に対応できる体制を整えておくことも必要です。

 

高見澤

2021年1月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

このブログ記事について

このページは、東藝術倶楽部広報が2018年9月20日 09:32に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20180919:町火消の統率役-「町火消人足改与力」」です。

次のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20180921:幕末の治安維持のために組織ー「町兵掛」」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

ウェブページ