東藝術倶楽部瓦版 20181010:江戸の交通整理役-「下馬廻り同心」、「門前廻り同心」

 

おはようございます。明後日12日は、東京お台場にあるグランドニッコー東京台場ホテルで、「第1回自動運転に関する日中官民合同セミナー」が開催されます。当初、北京での開催を予定していたのですが、中国側の強い要請により、東京で開催することになりました。中国からは工業情報化省の副大臣が参加、日本からも経済産業副大臣クラスの出席を予定しています。明日、午前中に両役所の幹部と現地で打合せ、その翌日は本番と、事務所に戻ることは午後、または夕方になってしまうことから、瓦版も明日、明後日は休刊とさせていただきます。

 

さて、本日は江戸の交通整理舞台として動員された「下馬廻り同心」と「門前廻り同心」について紹介していきましょう。下馬廻り同心、門前廻り同心ともに、どちらも上役としての与力は置かれておらず、いずれも三廻り同心と同様に江戸町奉行直属の役職です。

 

先ず、下馬廻り同心ですが、ここで意味する「下馬(げば)」とは、江戸城大手門前に立てられた「下馬札(げばふだ)」のことを指します。下馬札は、その先へは乗馬での出入りを禁止する立札のことで、江戸城においては、将軍以外はその身分に応じて城内での下馬の制限を受けていました。

 

この下馬廻り同心の役目は、江戸城登城の大名の行列が頻繁に出入りする大手門広場やその周辺の交通の混雑を整理することでした。とはいえ、町奉行所の同心程度の身分では、大名やその家臣に直接指示することは到底できないので、実質的には大名行列を見物するために集まった民衆や、その見物客相手に出店する食べ物の屋台などの整理が主な任務であったようです。定員は南北奉行所それぞれ6名でした。

 

次に、門前廻り同心ですが、こちらは江戸後期に新設された役職で、月番老中や若年寄の屋敷門前の交通整理にあたった役職です。幕政の中枢を担う老中や若年寄は、月番ともなると、大名や旗本、更には御用商人などからの陳情や相談が増えてきます。

 

そこで、幕府は月に何日か「対客日」という陳情が許される日を設けていました。その対客日には、老中や若年寄の屋敷門前が出入りする大名や旗本の供回りで混雑するものですから、その整理にあたるために門前廻り同心が赴いていました。この定員は南北奉行所それぞれ10名とされていました。

 

高見澤

2021年1月

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このページは、東藝術倶楽部広報が2018年10月10日 08:57に書いたブログ記事です。

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