東藝術倶楽部瓦版 20190612:山の内というふに至れば新発田よりの御番所あり-「会津街道」

 

おはようございます。現在、我が職場では即戦力となる若手の人材募集をしています。人材派遣会社を通じて募集し、昨日も2人の面接試験を行いました。一般に、財団法人や社団法人といった団体組織は、業務的に忙しいイメージはありませんが、我が職場は残業や海外(中国)出張は日常茶飯事で、表舞台には出難い下積みの仕事が業務の大半を占めています。しかも、裏方の業務に終始する者と、下積みの苦労を活かして表舞台で活躍する者とに分かれ、裏方で終始しようとすれば、いわゆる「やっつけ仕事」で終わるわけですから、まあ給料以上の仕事をしようとする気持ちにもならないでしょう。それは人それぞれの価値観ですから、どうこう言うつもりはまったくありません。とはいえ、せっかく下積みの苦労をしてそれなりのスキルを身に付けたのですから、それを活かしてもっと世界を広げ、更に成長していきたいという気持ちも大事かと思います。逆に、そうした地道な苦労があるからこそ、表舞台に出たときに、しっかりとした裏付けがあるわけですから、自分の自信にもつながるし、根拠ある話ができるのです。テレビやSNS等で華々しい世界が目立つわけですが、先ずはその裏にある厳しい現実を知ることが最初の課題かと思います。明日は、国際善隣協会というところで講演を行う関係で、瓦版をお休み致します。

 

さて、本日は「佐渡路(さどじ)」の一つに数えられる「会津街道(あいづかいどう)」について紹介したいと思います。佐渡路とは、中央から佐渡に通じる陸海路を指します。古代の駅路では小路としての北陸道で、海路は越前国敦賀(つるが)津より渡船して、越中国亘理(わたり)湊を経て佐渡に至るルートです。

 

江戸時代には、脇街道として、中山道の信濃国追分宿から分岐して越後国出雲崎宿に出る「北国街道」、中山道の上野国高崎宿から分岐して越後国寺泊宿に出る「三国街道」、そして奥州街道の陸奥国(磐城国)白河宿から分かれて越後国新潟に出る会津街道の3つを「佐渡三道」と呼んでおり、出雲崎、寺泊、新潟がそれぞれ佐渡への渡海場になっていました。

 

この佐渡三道のうち、北国街道と三国街道はすでに説明したので、ここでは会津街道について紹介したいと思うわけです。佐渡路が、佐渡で採掘された大量の金銀輸送や幕府役人等の通行のために重視されていた街道であったことは、北国街道や三国街道のところで説明した通りです。

 

江戸幕府は、陸奥国会津(福島県会津若松市)を東北地方で最も江戸に近い城下町として重視し、寛永20年(1643年)に保科正之を出羽山形藩から移封します。そして、会津を中心に各地に向けて会津街道と呼ばれる道、なかでも「会津五街道」が主要道路が整備されます。

 

会津五街道には、会津大町から下野国今市(栃木県日光市今市)に向かう「下野街道(日光街道、南山通り、関山街道)」、陸奥国白河(福島県白河市)に向かう「白河街道(若松街道、会津本街道、会津越後街道)」、出羽国米沢(山形県米沢市)に向かう「米沢街道」、越後国新発田(しばた)〔新潟県新発田市〕に向かう「越後街道」、陸奥国(岩代国)二本松(福島県二本松市)に向かう「二本松街道」がありました。このうち、越後街道が越後国側からみた会津街道となり、白河街道と合わせて佐渡路とされていました。

 

新発田から会津までは23里(約92キロメートル)、会津から白河までが17里(約68キロメートル)でした。新発田藩と会津藩との藩境には口留番所(くちどめばんしょ)〔関所〕があり、新発田藩側は山内(やまうち)口留番所、会津藩側は赤谷(あかたに)口留番所がそれぞれ設置されていました。

 

この街道は、米など会津地方の特産品の送り出しや、北海道・日本海側の海産物・塩などを運ぶ重要な役割を果たしたほか、新発田藩や村上藩の参勤交代にも利用され、「殿様街道」とも呼ばれていました。もちろん、佐渡金山関係者の行き来にも使われていたことはいうまでもありません。

 

高見澤

2021年1月

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このページは、東藝術倶楽部広報が2019年6月12日 08:13に書いたブログ記事です。

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