東藝術倶楽部瓦版 20190704:北の吉原、南の品川-「品川宿」

 

おはようございます。最近、閣僚や国会議員など政治家の不用意な発言が新聞やニュースで大きく取り上げられます。確かに、北方四島に絡む丸山穂高衆議院議員の戦争発言は、彼の泥酔時の行動と合わせて政治家としての資質に疑問を投げかけられるのも無理はありませんが、中には「こんなことまで...」と思わせるような発言が、大きく議論の対象となることに、日本の政治のレベルの低さを感じざるを得ません。先日のG20大阪サミットの夕食晩餐会で、安倍総理が、大阪城再建時にエレベーターを設置したのは大きなミスだったとの発言したことが、野党の間で障碍者や高齢者に対する配慮の欠如だとして、批判の対象となっています。総理が本当に大きなミスだったと思って、政府見解として話をするのであれば、それは大問題だと思いますが、晩餐会での発言は参集いただいた各国首脳の笑いをとるためであったことは明白で、そんなことに時間を費やすほど政治運営は暇ではないはずです。財政、外交、福祉、災害対策、経済対策など、真剣に議論しなければならない問題は目白押しです。このような政治を生み出しているのは、国民自体であることもまた自覚が必要なのかもしれません。

 

さて、本日は江戸四宿の一つである「品川宿(しながわしゅく、しながわじゅく)」について紹介していきたいと思います。品川宿は、東海道五十三次の一つであり、江戸日本橋から見て東海道の第一宿となっていました。

 

現在の東京都品川区の北東部、目黒川の河口付近に位置し、中世以来「品川湊」と呼ばれる港町として発展していました。徳川家康による伝馬・宿駅制度の整備に伴い、慶長6年(1601年)に正式な形で東海道の第一宿となります。日本橋から2里(約7.9キロメートル)、次宿の川崎宿までは2里半(約10キロメートル)で、宿建人馬は100人・100疋でした。

 

当初は目黒川北岸の「北品川宿」と同南岸の「南品川宿」の2宿で伝馬役を勤めていましたが、その後北品川の北に続く一帯にも水茶屋などが立ち並ぶ茶屋町となり、「品川新宿」と呼ばれる新たな宿場が形成されていきます。この品川新宿が正式に宿場として認められたのは享保7年(1722年)で、別名「歩行新宿(かちしんしゅく)」とも呼ばれています。

 

歩行新宿と呼ばれる所以は、本来宿場は伝馬と歩行人足(かちにんそく)の両方を負担しなけれならかったのですが、この品川新宿は歩行人足だけを負担することとされたために、この名称で呼ばれるようになったとのことです。品川宿は、五街道の中でも特に重要視された東海道の初宿であり、西国へ通じる陸海路の江戸の玄関口でもあったことから、かなりの賑わいをみせていました。旅籠の数や通過する大名の数も他の江戸四宿に比べ格段に多かったようです。

 

また、江戸の庶民が品川宿近辺にある牛頭(ごず)天王社、東海寺、品川寺、海妟寺や、少し離れた川崎大師、目黒不動などへの参詣の折に立ち寄る行楽地でもありました。さらに、遊所としても準公認とされており、「北の吉原、南の品川」と称さるほどの賑わいをみせていました。明和年間(1764年~1772年)以降、飯盛女と呼ばれる遊女が許されていた数は500人、最盛期には旅籠屋の数は180軒にも上ったそうです。天保14年(1843年)ころの記録によると、旅籠屋の数は93軒、戸数1,561戸、人口6,890人でした。天保15年(1844年)1月に道中奉行が摘発を行った際には、1,348人の飯盛女が検挙されたとのことで、幕府としてもその過度の賑わいは見逃すことができなかったのでしょう。本陣は北品川に1軒、南品川と品川新宿にそれぞれ脇本陣が1軒ずつありました。

 

南品川から1.5キロメートルほど南には江戸三大刑場の一つである「鈴ヶ森刑場」がありました。今でもその刑場跡が史跡として残されています。品川宿は私の自宅からも近いので、時間があればのんびりと散策でもしたいところです。

 

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このページは、東藝術倶楽部広報が2019年7月 4日 09:46に書いたブログ記事です。

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