東藝術倶楽部瓦版 20191202:【江戸の川その20】利根川最大の支流-「鬼怒川」

 

おはようございます。12月に入り、今年も残すところ1カ月を切りました。今週金曜日には東藝術倶楽部の忘年会、日曜日には日中官民合同で開催する「日中省エネ・環境総合フォーラム」、来週9日月曜日から14日土曜日まで北京出張、そして22日日曜日から26日木曜日まで今度は天津出張、27日納会があって、いよいよ年末年始の休暇に入ります。結局、今年も仕事に振り回された1年ということで、また新たな年を迎えることになりそうです。

 

さて、本日は「鬼怒川(きぬがわ)」について紹介しようと思います。鬼怒川は栃木県北西部と群馬県との県境近くにある鬼怒沼山(きぬぬまやま)東麓の日光市鬼怒沼に源を発し、栃木県中央平地、茨城県西部を南流して茨城県南部の守谷市と千葉県柏市及び野田市との境界付近で利根川に流入する利根川水系の一級河川です。全長は176.7キロメートルと利根川支流最長を誇り、流域面積は1,760.6平方キロメートルで、利根川最大の支流として位置づけられています。

 

鬼怒川の上流部は火山地帯で深い山間の渓谷を流れ、流域には鬼怒川温泉をはじめとする多くの温泉地が点在し、中流部は氾濫原(はんらんげん)と呼ばれるかつての洪水が多発した低地部分をゆったりと流れています。中流域には公園などが設けられ、釣りやスポーツなどを楽しむ観光地にもなっています。鬼怒川の豊富な水量を分かつために、放水路兼用水路の役割を担う西鬼怒川に分流する部分もあり、この豊富で上質な水は栃木県諸都市の水源として上水、灌漑用水として利用されています。

 

現在は利根川の支流となっている鬼怒川ですが、江戸時代初期までは太平洋に注ぐ東関東の本流の水系で、常陸川と共に香取海(かとりのうみ)〔古鬼怒湾(こきぬわん)〕へと注ぎ込んでいました。香取海は、江戸時代前まで下総国と常陸国の国境に存在していた内海で、関東平野東部に太平洋から湾入した地形を形成していました。延暦2年(805年)、香取海への河口に近い氾濫原の東南端で鬼怒川を渡船する経路が、下総国から常陸国へと入る東海道として整備されています。現在、香取海は利根川の下流部となっています。

 

鬼怒川は、中世・近世を通じて河川舟運(鬼怒川舟運)に利用されていました。水海道(みつかいどう)〔茨城県常総市〕は商港として栄え、中流域の阿久津河岸(あくつかし)〔栃木県さくら市〕は、会津からの廻米や木炭などの積替え港として賑わっていました。

 

寛永6年(1629年)、利根川東遷事業の一環として鬼怒川と小貝川を分離させ鬼怒川の川道を変え、常陸川との合流点を30キロメートルほど上流に移動させました。以前にも説明した通り、もともと利根川や渡良瀬川は江戸湾に注いでいましたが、利根川東遷事業によって鬼怒川とともに常陸川を通じて香取海に流れ込むようになりました。以降、鬼怒川は利根川の支流として扱われるようになっています。

 

鬼怒川の名称は、実は明治9年(1876年)以降使われるようになり、それ以前には「衣川(きぬがわ)」と表記されていたとのことです。明治時代には「絹川」とも表記されることもありました。奈良時代に編纂された『常陸国風土記』には「毛野河」と称される常陸国各郡を示す名称が見られ、平安初期の『続日本紀』には「毛野川(けぬがわ)」が下総国と常陸国の国境を成すとの記録が残されています。また、鬼怒川の語源として、この地方を治めていた豪族の「紀氏」に因む「紀の川」という説、アイヌ語の古語で「葦の野原を流れる川」を意味するとの説もあります。

 

日光東照宮の輪番記録によると、天和3年(1683年)に日光大地震が起きた際、鬼怒川支流の男鹿川(おじかがわ)が現在の海尻橋付近で隣接する葛老山(かつろうやま)の崩壊で堰き止められ「旧五十里湖(きゅういかりこ)」が出現したそうです。その後享保8年(1723年)の暴風雨により決壊し、死者1,200人を出す土石流が発生するなど、下流地域に大きな被害がもたらされとのことです。

 

高見澤

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このページは、東藝術倶楽部広報が2019年12月 2日 09:26に書いたブログ記事です。

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