東藝術倶楽部瓦版 20171205:髪置き、袴着、帯解きの祝いー七五三

 

おはようございます。先週土曜日、突然の訃報が飛び込んできました。フォーク・クルセダーズやシューベルツなどのフォークソンググループで活躍したシンガーソングライターのはしだのりひこ氏がパーキンソン病のため、72歳で亡くなったとのこと。その日、外出先でそれを知った私は、帰りのバスの中で彼がきたやまおさむ氏と作った名曲、「風」を何度も聴いていました。加藤和彦氏も8年前に亡くなっており、一人また一人と我が青春時代の思い出が去っていく寂しさを覚えます。

 

さて、本日は霜月の最初を飾るテーマとして「七五三」を取り上げたいと思います。七五三は皆さんもよくご存知の通り、数え年で3歳と5歳の男の子、3歳と7歳の女の子を祝う行事で、毎年1115日に行われています。元々は子供の成長の節目にあたり無病息災を祈願するものでしたが、奇数を縁起の良い陽数とする中国の思想の影響を受けて、7歳、5歳、3歳という年齢が祝われるようになりました。

 

現在では七五三に該当する年齢の子供に晴れ着を着せ、親とともに神社や氏神などに宮参りします。晴れ着を着て神社に詣で、千歳飴を買って帰る風習は近世以降のものですが、古くは男女3歳で「髪置き(かみおき)の祝い」、男児5歳で「袴着(はかまぎ)の祝い」、女児7歳で「帯解き(おびとき)の祝い」を行っていました。

 

中世以来、日本では赤ん坊は男女ともに、たいていは頭を青くそり、3歳の誕生日に初めて髪を伸ばす風習がありました。もう赤ん坊ではないという意味で、これを「髪置き」と呼びました。この髪置きでは、白髪をかぶせ頂きに白粉をつけ、櫛で左右に梳いて祝います。

 

また、江戸時代になると、5歳になった男の子は、その年の1115日に初めて袴をはく「袴着」のお祝いが行われるようになりました。そして女の子ですが、7歳になると、それまでの紐付きの着物に変わって、帯を締めるようになります。これを「紐解き(ひもとき)」、「帯解き」といって、7歳になると、子供は一人前の人としてはじめて社会に認められるようになるのです。

 

ただ、男の子を5歳、女の子を7歳としているのは主に関東地方で、全国一律ではありません。長野県では、3歳で男女ともに帯結びをするところがあります。

 

1115日に行われるのは、この日が「二十八宿(にじゅうはっしゅく)」の「鬼宿日(きしゅくにち)」にあたり、何事の祝い事には最良の日とされていることによります。二十八宿については、また改めて紹介したいと思います。旧暦1115日は必ず満月になり、11月は秋の実りを産土(うぶすな)の神に感謝する月でもあることから、その祭りの日が満月の15日に行われることもごく当たり前のこととして捉えられていました。これが「望(満月)の日の祭(霜月祭などと呼ばれる収穫祭)」として、収穫の感謝とともに、子供の成長を祈願する行事へと変貌していったものと考えられています。

 

高見澤

2021年1月

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このページは、東藝術倶楽部広報が2017年12月 5日 12:22に書いたブログ記事です。

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