2018年1月アーカイブ

 

おはようございます。先週は水曜日から北京に出張しており、一昨日の土曜日の夕方の便で帰国しました。お知らせもせず、瓦版をお休みしてしまい、失礼しました。明日、明後日と午前中に立ち寄りがあり、直接事務所には来ませんので、瓦版もお休みさせていただきます。

 

さて、本日のテーマは「人生儀礼」の中でも、まず生まれる前に行われる「安産祈願」について紹介していきたいと思います。安産祈願は、「着帯祝い」とも呼ばれ、妊娠5カ月目(1619週目頃)の「戌の日」に、安産を祈って腹帯を神前に供え祈祷を受ける儀式のことです。この日から妊婦は腹帯を巻き始めることになります。

 

戌の日に行うのは、犬はお産が軽く、多産であることにあやかる意味があります。戌の日に腹帯を締め、赤ちゃんの健やかな成長と無事な出産を願って安産祈願を受けるというわけです。お腹に巻くこの腹帯のことを「岩田帯(いわたおび)」と言います。岩田帯の語源は、穢れや災いから身を守る「斎肌(いはだ)帯」からきていると言われ、岩のような頑丈で強い子供になるという願いが込められています。また、結んだ帯を肌に着けた「結肌(ゆいはだ)帯」が語源だという説もあります。

 

この安産祈願の歴史は古く、『古事記』には、神功皇后が三韓征伐に赴いた際に懐妊中であったために、途中で産気づくことがないよう、また帰国して無事出産できるようにとの願いから腹帯を巻いたと記されていて、これが腹帯を巻く始まりと考えられています。平安時代にはすでに宗教儀式となっていました。皇室では8世紀奈良時代にはすでに記録が見られ、現在でも「着帯の儀」の名称で行われていて、5カ月目の戌の日の「内着帯」と9カ月目の戌の日の正式な「着帯の儀」からなります。

 

一般庶民にこの着帯が広がったのは江戸時代で、その頃までは今のような妊娠検査もなく、妊娠を知らずに流産してしまうことも少なくなかったようです。そのため、江戸時代の庶民は胎児が着帯するまでに無事育ったことを大いに喜んだのです。妊婦の家では着帯の日に赤飯を炊いて近所の村人を集め、お腹の子供を村落の一員として認めてもらい、村の有力者や本家の家長、妊婦の実家などから帯が贈られました。江戸時代には、一人の人の人生はこの安産祈願、着帯祝いから始まっていたのです。

 

高見澤

 

 

おはようございます。それにしても東京都心でも昨日はよく雪が降りました。昼過ぎから外出したのですが、最初みぞれ交じりの雨だったのが、帰る頃には大きな雪粒で一面真っ白、地下鉄も早期退社のサラリーマンやOLで混み始めていました。ニュースやツイッター情報で混み具合を確認しつつ、夜7時半頃に地下鉄で返りましたが、電車は遅れているものの帰宅ラッシュは一段落したようで、電車内は比較的すいていました。今朝はまだ雪が残っていますので、車の運転や歩行には注意が必要です。

 

さて、本日からは「人生(家庭)儀礼」なるものに焦点を当ててご紹介してきましょう。人生儀礼は「通過儀礼」とも言い、出生、成人、結婚、死など、人が生まれてから死ぬまでの成長過程における節目に、神々への感謝や祈願、家庭でのお祝いを行うなどの儀式を指します。

 

こうした儀礼はいずれの世界でも行われており、形や方式は違えども人類共通の儀式として行われています。古来、日本でも伝統行事の一つとして、それぞれの節目に過程で祝い、これまでの無事を感謝して氏神や崇敬する神社で祈願を行ってきました。

 

この人生儀礼の中には、年中行事のところでご紹介したテーマもありますのでそれは省きますが、江戸時代との関係を念頭に置きながら(といっても自然と江戸時代につながってしまうのですが...)解説していきたいと思いますので、暫くお付き合いください。