東藝術倶楽部瓦版 20180109:もとは藤原氏の私祭からー「春日若宮おんまつり」

 

おはようございます。今朝の東京は、昨日降っていた雨も上がり、比較的暖かい朝を迎えています。今日、東京では昼間の気温が17℃ぐらいまで上がるそうですが、今週後半にはまた冷え込むようです。

 

さて、本日は「春日若宮おんまつり」についてご紹介したいと思います。このお祭りは、奈良にある春日大社の摂社(本社に縁故の深い神を祀った小さな神社)である若宮神社の祭礼で、奈良の年中行事で、最も豪華で大規模なものとして有名です。また、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。

 

この祭りは、もとは藤原氏の私祭として行われていたものでしたが、それが若宮神社の祭りとなったのは、平安末期の保延2年(1136年)9月17日(旧暦)に、当時流行っていた疫病や飢饉の災厄を祓い、五穀豊穣と難民救済を祈願するために、時の関白・藤原忠道が勅許を得て春日野に御旅所(おたびしょ)を造営し、若宮神社の御神体をお迎えして祭礼を行ったことに由来しています。それ以来、一度として途切れることなく、連綿と守り継がれている伝統行事となっています。

 

祭りの次第は、毎年1215日が大宿所祭(おおしゅくしょさい)、16日が宵宮祭(よいみやさい)、17日午前零時から若宮様が参道脇の御旅所にお遷りになる「遷幸の儀」が行われ、それからが本祭りとなります。本祭りの見どころは、神霊の「御渡り式」です。17日正午から、平安より江戸時代に至る古式ゆかしい時代行列である「御渡り式(おわたりしき)」が奈良市街を練り歩きます。束帯姿の春日の使いを先頭に、巫女、細男(せいのお)、田楽法師、競馬騎士、大名行列などです。午後2時半からは御旅所で国の平安を祈念する祭典が厳粛に行われ、夕刻からは、御旅所に篝火を焚き、深夜まで数多くの神事芸能が奉納されます。午後11時、若宮様が御旅所から本殿にお帰りいただく「還幸の儀」が行われます。さらに18日には、後宴の能が金春一座によって演じられます。

 

奈良では、この祭りが終わると本格的な冬になると言われています。

 

ところで、若宮神社の御祭神ですが、春日大社大宮(本社)の第三殿天児屋根命(あめのこやねのみこと)と第四殿比売神(ひめがみ)の御子神であり、その御名を天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)と申し上げるそうです。平安時代の中頃、長保5年(1003年)3月3日(旧暦)、第四殿に神秘な御姿で御出現になり、当初は母神の御殿内に、その後は暫く第二殿と第三殿の間の獅子の間に祀られ、水徳の神と仰がれていたということです。

 

高見澤

2021年1月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

このブログ記事について

このページは、東藝術倶楽部広報が2018年1月 9日 12:18に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20180105:壁や親の世からの「古暦」」です。

次のブログ記事は「東藝術倶楽部瓦版 20180110:お手を拝借、シャンシャンシャンー羽子板市」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

ウェブページ