東藝術倶楽部瓦版 20170601 :なぜ狐ばかりがもてはやされる?-初午の狸

 

おはようございます。東京都心では、今朝方降っていた雨も止み、空が明るくなりはじめています。6月に入り、梅雨に向かって不安定な天気が続くかもしれません。

 

さて、本日のテーマは「初午(はつうま)」です。初午は、旧暦2月初めの「午の日」のことを指します。毎年この日には、全国各地の稲荷神社で、「正一位稲荷大明神」という幟を立てて、狐の大好物である油揚げや赤飯などを供えて盛大に初午祭が行われます。

 

稲荷神社は日本全国に約4万社あり、豊作、商売繁盛、家内安全にご利益があるとされています。稲荷神社の総本山は、京都市伏見区にある伏見稲荷大社です。和同4年(711年)2月の最初の午の日(2月11日)に、伏見稲荷の祭神である宇迦御霊神(ウカノミタマ)が伊奈利山(稲荷山)の三箇峰に降りたとされる故事から、毎年2月の初午の日に、稲荷神を祭る祭事が行われるようになったとされています。

 

「稲荷」の語源は「稲生り」と言われており、もともと宇迦御霊神は五穀豊穣をもたらす農耕の神です。「ウカ」とは、穀物や食物のことを指すそうです。稲荷信仰が狐と結びついたのは、江戸時代とされています。なぜ狐なのかは分かりませんが、狐が稲荷神の使いとされ、狐の大好物である油揚げが供えられるようになっています。この日は狐ばかりがもてはやされ、狸が蚊帳の外に置かれていることから、他人がもてはやされて自分が相手にされないことを「初午の狸」などとも言われます。

 

ウマにちなんで、農耕馬の祭日としたり、養蚕信仰と結びついて繭型の初午団子を供える地方もあります。江戸時代にはこの日に子供を寺子屋に入門させるなど、習い事を始める習慣があったようです。

 

本来の初午は旧暦2月ですが、現在では新暦の2月とされています。初午以外に、十二支にちなんで「初」のつく日としては、以下のものがあります。

 

初子(はつね):正月または11月の最初の子の日
正月最初の子の日には、野に出て小松引きや若菜摘みなどの子の日遊びが行われ、11月最初の子の日には、商家では大黒天を祀った。

 

初丑(はつうし):夏の土用のうちの最初の丑の日
鰻を食べたり、丑湯に入ったりする風習。

 

初寅(はつとら):正月最初の寅の日
福徳を願って毘沙門天に参詣する風習。

 

初卯(はつう):正月最初の卯の日
初卯詣が行われる。

 

初辰(はつたつ):正月最初の辰の日
防災のまじないをする日。大阪の住吉大社では、月の初めの辰の日に「初辰まいり」を行い、48回で四十八辰、すなわち始終発達するとされる。

 

初巳(はつみ):正月最初の巳の日
弁財天に参詣する風習。

 

初申(はつさる):旧暦2月の最初の申の日
奈良の春日神社の祭典が行われる。

 

初酉(はつとり):正月または11月の最初の酉の日
浅草鷲神社の祭礼。酉の市も各所で開かれる。

 

初亥(はつい):正月最初の亥の日
摩利支天(まりしてん)の縁日。

 

テレビでも、「初午大感謝祭」などと安売りのコマーシャルを見たことがります。商売繁盛、家内安全は昔から変わらぬ人々の願いなのかもしれませんね。

 

高見澤