おはようございます。早いもので、11月もすでに半分が過ぎようとしています。秋の日が暮れやすいことを「釣瓶落とし」という言葉で表されますが、宵闇が迫るなか、家々の明かりが何となく懐かしく思えてきます。
さて、本日は「十日夜(とおかんや)」について紹介したいと思います。前回、お話しました「亥の子の祝い」が主に西日本で行われているのに対し、中部・関東以北の地域では、旧暦10月10日にこの十日夜という「刈り上げ祝い」が行われます。刈り上げの祝いはいわゆる「収穫祭」のことで、民間で行われるものです。
亥の子の祝いと同じように、この日には田の神が山に返るとの言い伝えがあり、子供たちが藁で作った鉄砲で地面を叩きながら、「十日夜いいものだ、朝そばぎりに昼だんご、夕飯食ってひっぱたけ」などと唱え歩きます。こうすると、モグラ除けのおまじないにもなると言われています。
長野県や山梨県では、案山子上げを行って庭先に立て、田の神祭りをするところもあるそうです。埼玉県の川越地方では、十日夜とも亥の子様とも言い、長野県でも十日夜を亥の子祭りとも呼ぶところがあり、関東から甲信地方辺りが十日夜と亥の子の祝いとが交錯する地域ではないかと推測されます。
この十日夜ですが、地方によって行事はさまざまなようです。ただ、餅を搗くということだけはどこでも共通しているようです。
ところで、「十日夜」にも月見をする風習があります。旧暦8月の「十五夜」、9月の「十三夜」とともに「三月見」と言われ、すべての月を見ると縁起が良いという言い伝えがあります。
高見澤