おはようございます。昨年は仕事の忙しさにかまけ、年賀状を書く時間もなく出すことができませんでした。今年は夏に父が亡くなったので、喪中ハガキを出さなければならないところですが、これもまたついぞ出す時間もありませんでした。毎年年賀状をくださる皆様には不義理をして、本当に申し訳ありません。
さて、本日は、「新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)」について紹介したいと思います。現在、11月23日は勤労を尊び、生産を祝い、互いに感謝し合う「勤労感謝の日」という国民の休日となっています。そしてその翌日が私の誕生日なのですが、それは余談として、今年は出張で休日をゆっくり過ごすことはできませんでした。
この「勤労感謝」の意味ですが、勤労に感謝することではなく、また働く人に感謝することでもありません。元々11月23日は「新嘗祭」と呼ばれる祭日で、非常に重要な宮中祭祀が行われていました。
「新嘗(にいなめ)」とは、「ニイ(新)」の「アへ(神に供える食べ物)」の意とされ、天皇がその年の新穀でつくった食べ物や神酒を天神地祇(てんじんちぎ)に供えたあと、自ら食す習わしがあります。これを「直会(なおらい)」といい、この一連の祭儀を「新嘗祭」と呼びます。昔から日本は農業を大切にしてきた国であり、「瑞穂の国」の祭祀を司る最高権力者である大王(おおきみ)、即ち天皇が国民を代表して農作物の恵み、五穀豊穣、命の糧を授けていただくことに対する神への感謝を捧げるための式典、いわゆる「収穫祭」です。以前紹介した「神嘗祭」がその年に初めて収穫した稲穂「初穂」を天照大神に供して感謝する祭祀であるのに対し、新嘗祭は天皇が天照大神を含む天津神・国津神に供した後、天皇自身が召し上がる点が異なっています。
新嘗祭の起源はよく分かってはいませんが、『日本書紀』によると、飛鳥時代の皇極天皇の時代(642年~645年)に始まったといわれ、『万葉集』にも新嘗祭にまつわる和歌があるようです。古くは11月の「卯の日」に行われていたようですが、明治の改暦以降、新暦の11月23日(二回目の卯の日)に定められました。以前紹介した「十日夜」、「亥の子」、その他各地の「霜月祭」など、日本の伝統的な民族行事である旧暦10月の収穫祭とも関係があると言われます。天皇即位後、初めての新嘗祭は、「大嘗祭(おおにえのまつり、だいじょうさい)」と呼ばれています。
日々の生活の糧を与えられていることに対して、感謝の念を忘れてはいけませんね。
高見澤