こんにちは。業務が忙しい中、本日は体調を崩し休まざるを得ない状況に追い込まれています。少し情報のストックがありますので、そこから本日は瓦版をお送りします。
さて、本日は「成道会(じょうどうえ)」について紹介したいと思います。成道会とは、釈迦が臘八(ろうはち)〔12月8日〕の暁に、大悟して「成道」したことにちなんで、毎年12月8日に仏教寺院で行われる法会です。「臘八会(ろうはちえ)とも呼ばれています。
「成道」とは、菩薩が修行の末、成仏得道、すなわち悟りを開いて仏になることを指します。五井野正博士の『法華三部経体系(総論)』でも説明されていますが、本来、仏になるということは死ぬことではなく、死を超越することであり、今の仏教寺院の解釈とは真逆の発想であることを、肝に命じておく必要があります。
「臘」というのは、中国において、冬至後の第三の戌の日に行われる祭りのことを指し、猟で得られた獲物が神や祖先に捧げられます。この臘が転じて、年の暮や旧暦12月が「臘月(ろうげつ)」と呼ばれるようになりました。もちろん中国語でも12月のことを「臘月(layue)」と表すこともあります。新暦での冬至は12月22日頃ですが、旧暦では11月中頃になります。戌の日は12日ごとに巡ってくるので、第三の戌の日は旧暦12月の中旬から下旬になります。
釈迦族の王子であった釈迦が出家したのは29歳のときと言われいます。最初はバラモン教の教えの下で6年の歳月をかけて難行苦行をするわけですが、それでは悟ることができないと、そこから離れます。釈迦は難行苦行による疲労で倒れてしまいますが、スジャータという村の娘(娼婦とも言われています)に介抱され元気を取り戻します。このときに釈迦に供された食べ物が米を牛乳で炊いた「乳粥」です。体力を回復した釈迦は、菩提樹の下で座禅・瞑想をして7日目の朝に悟りを開くことになります。釈迦が35歳のときです。この7日目が12月8日とされているのです。釈迦が悟る際の気持ちやスジャータの純粋な心については、『法華三部経体系(総論)』に記されているので、読み返されることをお勧めします。
仏教寺院の中でも、特に禅宗の各寺院では12月1日から8日まで「臘八接心(ろうはちせつしん)」と言われる座禅苦行が行われています。難行苦行では悟れないと釈迦が判断したにもかかわらず、なぜ禅宗ではこの悪しき風習が残っているのでしょうか?
高見澤