おはようございます。忙しい日が続きます。先週金曜日に中国の環境問題について講演したのに続き、今月中旬締め切りの原稿に追われ、今週木曜日8日から来週月曜日12日まで北京出張と、来週末の3連休も潰れてしまいます。仕事があることはありがたいことですが、さすがに限度というものも考えなければなりません。何事もほどほどが肝心です。
さて、本日は「産着(うぶぎ)の祝い」について紹介していきたいと思います。産着の祝いとは、子供が生まれて初めて産着を着ることを祝う儀式で、「着衣の祝い」とも言われます。産着は、生まれたばかりの赤ちゃんに着せる祝い着で、古くは陰陽師にはかって、子供の性(しょう)に合う吉色に染めて着せていました。もう一つ、産着には前回紹介したお宮参りの時に着せる着物を指すこともありますが、ここでは赤ちゃんが初めて袖を通す伝統的な着物を指しています。
赤ちゃんが生まれた直後に始めて袖を通す服はガーゼで作られた産着です。それから2~3日経つと、麻で作られた産着に変わります。麻の産着には、麻の葉をデザインした正六角形の模様が描かれています。麻はすくすくと真っ直ぐに伸びることから、赤ちゃんの成長を願う意味が込められています。
この産着の習慣が広まったのは、これもまた江戸時代のようです。麻素材の産着は、先に述べたように赤ちゃんの成長を願うという意味以外に、麻の香りが虫除けになるという一面もあります。また、麻の葉の模様は、古来災いを防ぐお守りとされており、生まれて来る子供のために、母親が一針一針刺繍を入れていました。今では刺繍からプリントにはなっていますが、子供を思う母親の気持ちは分からないものと思います。
平安時代、貴族の家などでは子供が生まれると、初夜、三日目、五日目、七日目、九日目に「産立ちの祝い」がなされていたことは、前々回説明した通りですが、この祝いの日に、親族や関係者が産婦の衣服や子供の襁褓(むつき、産着のこと)、飲食物、器具などを贈って祝意を表し、賀宴を開かれていたのがこの産立ちの祝いです。
子供が生まれた際、出産して直ぐに炊いて産神に供えるご飯を「産立飯(うぶたてめし)」と言います。また、産婆や関係者、近所の人を招いて飲食する「産飯(さんのめし)」というイベントも行われていました。「産立(うぶだて)」とは、出産直後の飲食のことを指しますが、産後三日目または七日目、21日目などに開かれる宴のことを指すこともあります。しかし、本来は誕生後、産神を祀り、共に飲食をする儀式のことを指していました。
高見澤