東藝術倶楽部瓦版 20180810:国持ちか城持ちかで決まる「大名の家格」

 

おはようございます。台風が来て涼しさを感じたのもつかの間、また猛暑がぶり返しています。猛暑日を超える「酷暑日」なる言葉も飛び交うこの頃ですが、皆さんは夏休みはどう過ごされますか? 実は、来週少し夏休みをいただき、昨年亡くなった父親の一周忌と新盆を兼ねた行事が佐久の実家で行われるため、月曜の夜に東京を経って、火曜日の行事に参加、その夜にまた東京に戻ることになっています。仕事が忙しくて、のんびり温泉に浸かっている閑もありません。ということで、来週は月曜日から水曜日まで瓦版も休刊とさせていただきます。ご理解の程、よろしくお願い致します。

 

さて、本日は具体的な家格制度のうちの「大名の家格-その一」について紹介していきたいと思います。江戸時代の大名については、徳川将軍家との関係によって親藩、譜代、外様の3つに分けることができること、さらに親藩の中でも御三家、御三卿、その他御家門など、家柄によって家格を示すことがあることは、すでに紹介した通りです。

 

大名については、これとは別に所領やその石高、居城の有無によって家格を示す制度がありました。一国以上、或いはそれに相当する広大な所領を持つ「国主(国持ち大名)」、国主に準ずる格式を与えられた「準国主(準国持ち大名)」、国主及び準国主以外で居城が認められていた「城主(城持ち大名)」、城は持たないが城主と同じ待遇を受ける「準城主(城主格大名)」、城を持たない「陣屋(無城)大名」の5段階に分けられていました。この他にも、「居館」に居住していた「交代寄合旗本」も陣屋大名と同格の地位が与えられていたようです。

 

国主大名は、一国一円の12家(当初は10家)と大領を有した大身国持6家の計18家がこれにあたります。一国一円12家とは、①加賀金沢前田家、②薩摩鹿児島島津家、③長門萩毛利家、④因幡鳥取池田家、⑤阿波徳島蜂須賀家、⑥筑前福岡黒田家、⑦安芸広島浅野家、⑧備前岡山池田家、⑨土佐高知山内家、⑩対馬府中宗家、⑪伊勢津藤堂家、⑫出雲松江松平家(親藩)を指します。大身国持6家とは、①陸奥仙台伊達家、②肥後熊本細川家、③肥前佐賀鍋島家、④筑後久留米有馬家、⑤出羽秋田佐竹家、⑥出羽米沢上杉家を指します。また、上記18家も時代によって変化し、越前福井松平家(親藩)、陸奥盛岡南部家、美作津山松平家(親藩)、大和郡山柳沢家(親藩)などが大身国持とされています。大身国持は表高20万石以上で半国以上の領地を知行としていました。

 

準国主としては、①伊予宇和島伊達家、②筑後柳川立花家、③陸奥二本松丹羽家の3家がこれにあたります。この3家はいずれも表石高10万石以上で、国主に準ずる家格とされていました。

 

国主、準国主は共に国許で城で居住すること、すなわち「居城」が許されていました。そして国主、準国主以外で居城が許されていたのが城主大名です。江戸幕藩体制下において「城」の定義は、「石垣の上に塀と櫓を有している」建築物で、それ以外は「陣屋」とされていました。城主大名としては、彦根井伊掃部頭(かもんのかみ)家、姫路酒井雅楽頭(うたのかみ)家、富山前田出雲守(いずものかみ)家、加賀大聖寺(だいしょうじ)前田飛騨守(ひだのかみ)家など150以上の大名が居城を認められていました。

 

居城を許されない大名のことを陣屋大名と呼び、陣屋で居住することを「在所」といって居城とは区別していました。在所でありながら城主に準ずる待遇を受ける大名を城主格大名といいます。元和元年(1615年)の「一国一城令」によって主城以外の城が破却されると、その後取り立てられた家や分知大名が出てくると与える城地が不足する事態が生じます。そこで長年幕府に貢献した家や旧家・名族に対して、居城ではないが城主待遇とする処置を施すことになります。越後井伊家与板藩、信州内藤家岩村田藩、越前酒井家敦賀藩など譜代の支藩や大藩の分家・支藩等がこれにあたり、幕末の慶応3年(1867年)には19家あったそうです。

 

そして、城主格大名以外の居城を許されない大名が本当の陣屋大名となるわけです。一口に大名といっても、こうした知行の大きさによったり、城が持てたり持てなかったりで家格が決まっていたのです。

 

高見澤

 

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このページは、東藝術倶楽部広報が2018年8月10日 06:53に書いたブログ記事です。

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