東藝術倶楽部瓦版 20190212:江戸浮世絵勉強会&旧正月新年会報告

 

おはようございます。先週土曜日は、ご案内の通り江戸浮世絵勉強会「江戸の時間」並びに旧正月新年会を行いました。心配していた大雪の予報も勉強会・新年会ともにまったく影響はなく、結果として勉強会にはキリロラ顧問を含む9名、新年会には池田顧問が加わり10名にご参集いただきました。過去にも経験があるのですが、我ら東藝術倶楽部のイベントの際には、予報がどうだったにせよ、いつも天気・天候に恵まれるという不思議な現象が起きます。これも天のご加護というものなのでしょうね。

 

さて、本日は江戸の大火を一休みさせていただき、勉強会と新年会の報告をしたいと思います。

 

2月9日(土)、少し遅れて到着する人もいましたが、東部スカイツリーライン「東向島駅」を出発し、午後3時過ぎに「セイコーミュージアム(THE SEIKO MUSEUM)」に到着しました。ミュージアムでは、専門説明員の方から展示品や時間、時計の歴史について説明を受けました。中国清朝時代の日時計や香時計、漏刻(水時計)等の仕組み、英国をはじめとする欧州で発明された当時の実物の機械式時計など、実際に展示物を動かしてみたり、動画をみたりしながら、当時の人たちの時間に対する概念や、その精緻な機械運動の伝わり方を学ぶことができました。

 

欧州で作られたとされる機械式時計ですが、その起源は中国にあるのではないかとの黒木代表の質問には説明員の方も特段否定することもなく、この辺りの歴史はまた改めて紐解く必要があるかもしれません。フランスで作られた懐中時計の細かな洒落た動く装飾(時報に合わせて天使が鐘を叩く)には、職人がものづくりを楽しんでいた姿が目に浮かびました。

 

機械式時計で最も驚かされたのは、やはり何といっても「和時計」です。欧州の機械式時計は、当時から定時法でしたので昼と夜の時間の長さを調節する必要はなかったのですが、不定時法を採用していた江戸では、何と昼夜の長さを自動的に調節する機能のついた「二挺天符(にちょうてんぷ)」式の和時計が作られていたのです。しかも中には目覚まし機能のついたものまであったのですから、その驚きは倍増です。幕末には徳川斉昭が使っていたとされる発条式の「印籠時計」も展示されており、そのきらびやかな装飾にも目を奪われました。

 

和時計のコーナーには、和時計が描かれた三代歌川豊国と歌川芳虎の江戸後期の浮世絵と、明治期に描かれた小林栄成の「うきよはんじょう穴さがし」の赤絵が展示されていました。豊国の絵からは、当時江戸幕府には時計を扱う専門の技師がいたことを知ることができます。

 

ミュージアムでの最後のコーナーはセイコーの歴史です。同社の創始者である服部金太郎の時計に対する信念と顧客第一をもっとうとしたビジネス精神には、心打たれるところがありました。発条を使った手動式機械時計から自動巻き時計、そしてクウォーツ時計へと進化し、さらにアナログ式からデジタル式へと進化を遂げてきた時計ですが、最後に職人たちは、そうした経験を踏まえた上で最高水準の機械式時計に再び挑戦することになったのです。

 

今、社会はデジタル社会に向けて進みつつあります。何もかもが「0」と「1」の数字に置き換えられ、データの収集・送受信・蓄積が大量かつスピーディーに行われ、人工知能(AI)によって抽出・分析が便利にできるようになりましたが、その分、個人情報が常に他人の目に晒され、監視・管理社会が簡単に成り立つようになりました。これはこれで恐ろしいことですが、人々はそんなことに危機感を抱くようには教育されていません。

 

こうしたデジタル社会の中で、再度アナログの技術が見直されていることは、驚きに絶えません。デジタルという便利さのなかで、それに与せずアナログの世界に挑戦する匠の精神こそ、こらからの日本人が目指すべき道ではないでしょうか?


ミュージアムでは、見学のお土産として「TOKYO MARASON2019」のバッヂが一人一人に配られました。セイコーが東京マラソン2019のオフィシャルタイマーということで、マラソン参加者にしか配られない限定品だそうですが、特別にいただけることになりました。

 

ミュージアム見学の後、近くのファミレスで江戸の時間と、それに関連して「方位」について私から説明をしました。このお話しはすでに瓦版でも紹介しているところなので、ここでは省略します。

 

勉強会の後、当日台東区で講演を終えられた池田顧問が加わっての新年会を開催しました。場所は東銀座にある健康中華「青蓮」東銀座店で行いました。化学調味料を極力使用しないことをもっとうにしている本格中華のチェーン店です。池田顧問を交えての新年会は、池田顧問の家族愛に包まれた心温まるお話しや、表には出てこない裏世界の話などで盛り上がり、今後我々がどう社会で生きていけばいいのか、その示唆を与えられた気がしました。政府やマスコミのいうことをそのまま受けるのではなく、常に自分で考え、自らの信念に従って行動する重要さを改めて感じた次第です。


高見澤




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このページは、東藝術倶楽部広報が2019年2月12日 09:00に書いたブログ記事です。

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