東藝術倶楽部瓦版 20191007:江戸時代の一般的な輸送方式-「瀬取り」

 

おはようございます。今日の東京は、やっと秋らしい朝を迎えています。少し肌寒さを感じる人も少なくないと思いますが、私にとってはちょうど良いぐらいの感触です。これから一気に寒さが加速するような予感がしています。明日10月8日は二十四節気の一つ「寒露」です。暦の上ではすでに秋も終盤。ゆっくりと季節感を感じられなくなっていることに、寂しさを感じる今日この頃です。

 

さて、本日は「茶船」の重要な役割の一つである「瀬取り(せどり)」について紹介しておきたいと思います。瀬取りとは、洋上において船から別の船に船荷を積み換えることを指し、一般的には親船から小船へ移動する形がとられます。英語では"Ship-to-ship cargo transfer"と訳されます。この瀬取りを行う船のことを「瀬取り船(せどりぶね)」と呼んでいました。

 

江戸時代までの港は、現在のように大型船舶が入港し着岸するための港湾設備が十分に整備されていたわけではありません。そのため、海上航路を進んできた大型船は一旦港の沖合に停泊し、運ばれてきた積荷は大型船から艀(はしけ)などの小型船に積み替えて陸揚げしなければなりませんでした。そして、その後は河川の航路を小型船で陸上まで運搬する輸送方式となっていました。

 

現在では港湾の整備が大きく進み、大型の船舶が接岸可能な設備が充実し、トラックや鉄道による陸上輸送網の発達、飛行機による航空輸送が利用されていることから瀬取りの作業は少なくなっています。ただ、離島など設備が十分でなかったり、浚渫が難しい港などでは、今でも瀬取りが行われています。

 

北朝鮮への経済制裁に関連し、国連安保理決議として北朝鮮船舶に対する瀬取り行為が禁止されていることは、最近の国際的な話題の一つにもなっています。

 

高見澤

2021年1月

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このページは、東藝術倶楽部広報が2019年10月 8日 12:28に書いたブログ記事です。

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